無意識日記々

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IN FLAMES 「Reroute To Remain」(2002)

リルート・トゥ・リメイン

リルート・トゥ・リメイン

IN FLAMESサウンドはIRON MAIDEN直系というか、真の後継者という感じだが、彼らの音楽性の推移の方を眺めてみると、実はどちらかというとJUDAS PRIESTの方が近いんじゃないかと思い至った。IRON MAIDENの場合、荒ぶる攻撃性で大作を構築するスタイルから、旋律とムードを重視した重厚な作風への変化、という流れでずっと一定していて、だからこそ最近作の「The Final Frontier」(2010)は10分クラスの楽曲が目白押し、という状況にまで上り詰めているのだが、JUDAS PRIESTというバンドは結構日和見主義というか、その時の流行をどう料理するか、それらの後を追えば失敗作、先回りして機先を制すれば大成功、というのを繰り返してきたバンドであるように思う。IN FLAMESはまさにそれで、オーソドックスなヨーロピアンスタイルのメロディック・デス・メタルを初期はプレイしていたが―といっても、まさにそのスタイルのオリジネイターが彼らなのだが―、徐々に21世紀のアメリカン・メタルのスタイルを取り入れていった。JUDAS PRIESTも、英国でのキャリアを着実に積み上げながら80年代はアメリカでの成功を視野に入れ、というか寧ろ本国英国よりアメリカでの成功をメインに考えていた節がある。、、、って長い話になるな。要は、初期に地元に根ざしたサウンドを確立したバンドが、米国での成功を睨んで変化していった様子が相似している、という。

JUDAS PRIEST初期の名作といえば2ndアルバムの「Sad Wings Of Destiny」だろう。そこから英国風様式美を推し進めた3rd「Sin After Sin」、4th「Staind Class」といった作品を矢継ぎ早にリリースしていったが、5th「Killing Machine」からヘヴィでモダンなスタイルを取り入れ、6th「British Steel」で“80年代型メタル”の雛型を完成させた。IN FLAMESも同じく、メロディック・デス・メタルのひとつのスタイルを確立した2nd「The Jester Race」から始まり3rd「Whoracle」4th「Colony」と美旋律の渦を巻く名盤を次から次へと繰り出していった。そして2000年、5th「Clayman」から、その様式美に加え、00年代のモダンなメタル(後にメタルコアと言われる者たちの源流だが、この頃はまだ後期ニューメタル、といった雰囲気だったな)風味を加えてきて、この6th「Reroute To Remain」で本格的に“21世紀型の新しいメタルのスタイル”の確立を目論んでくる。そのせいで保守的な昔ながらのファンの反感は買ったが、そこから10年でアメリカでの成功を確立し後続に多大なる影響を与える存在となった。なるほど、確かに同じである。いわば、この「Reroute To Remain」は、“21世紀の「British Steel」”だったと言えると思う。21世紀の幕開けを告げた傑作だ。(85)