無意識日記々

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LEGEND in JAPAN ?

ヒカルは昔「60歳になっても歌ってるだなんてやだー」と駄々をこねた事があったが、それはどこまで本心なのだろう。いや、本心がどうあれ関係ないのかもしれない。



昨日はOZZFEST JAPANでBLACK SABBATHを見てきた。昨今は何にでも神とか伝説とかつけたがる風潮があるが、彼らは「ヘヴィ・メタル」というジャンル自体の始祖・ルーツとなった正真正銘の"レジェンド"である。彼らが居なかったらそれこそCDショップの"HR/HM"という掛け札は存在しなかったと言っていい。ひとつの音楽ジャンルを確立した、紛れもない20世紀を代表するグループのひとつである。

そんな彼らがデビュー43年目にして"初来日"をした。BLACK SABBATH名義での来日は何度かしているが、いずれもフロントマンがオジー・オズボーンではない、"違う"グループとしてのものだった。今回は違う。初めて、オジー・オズボーン、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラーという3人が揃っての来日公演。当然そのラインナップでの過去の名曲群、70年代の"ロック・クラシックス"が彼らの演奏によって再現される事を期待して足を運んだ。

しかし、実際に耳にしてみると何かしっくり来ない。理由は明白で、このバンドは4人組。ドラマーのみオリジナル・メンバーのビル・ウォードではなかったのだ。サポート・ドラマーの人は技術的にはビルを遥かに上回るが、やはりサポートととしての立ち位置が影響してか"サバスの1/4としての"プレイではない。違和感はそこから来ていた。

ところが先頃発表された新曲"God is Dead"の演奏が始まると一転、総ての歯車がピタッとはまった。ドラマーがサポートであるという前提で作られたこの曲は、当然今の編成のバランスを前提として編曲されている。そのサウンドの迫力は、過去の名曲群の比ではなかった。いや、楽曲的に優っているかというとそうでもないのだが、"今の彼ら"が演奏するには、40年前の楽曲よりつい最近作った曲の方が遥かに相性がよかったのである。


ここから得られる教訓は大きい。見に行く前は、レジェンドが半世紀近く前の楽曲をオリジナルメンバーとしての威厳をもって演奏してくれるものと思っていたが、実際に観てみると、至極当たり前の話だが彼らもまたミュージシャンとして40年以上の歳月を積み重ね変化し、"今の状況"に至っているのだ。それを無視して聴き手が懐古に走れば、認識のズレが出てきても仕方がない。

恐らくポイントは、彼らがプレイヤーであると同時にコンポーザーでもあるという点だろう。次回はそこら辺から掘り下げていこう。