By ピンク・フロイド。
クレイジー・ダイアモンドといえばジョジョの奇妙な冒険のスタンド名だが、元ネタは当然これ。20世紀を代表する名曲のひとつ。詳しくはググれ。
ヒカルはブルー・ナイルを溺愛していると思われるが、同じドモホルンリンクルタイプの音楽(註:無駄を徹底的に濾してエキスだけを抽出したかのような音楽を私が勝手にそう呼んでいる)なら私はピンク・フロイドを崇拝している。ブルーとピンク、青と桃。ナイル川と風呂&井戸。最後のは冗談だが、両グループの名前に色が入っているのは偶然ではないと思う。音楽を聴いて色を思い浮かべる作用。イマジネーション。その象徴が"色"なのだろう。
エリザベス・テイラーの歌声を聴いてHikaruは種々の風景を呼び起こされると語っていたが(熊淡弐)、この、音が何かを齎す、何かを生み出す作用を強引にイマジネーションとただ呼んでしまえば、ピンク・フロイドは最もイマジネイティヴな音楽を奏でるグループだと思う。ただ、フロイドが好きと言うのは、野球選手ならイチローが好き、というと野球ファンから「そらせやろ」と返されてしまうのと同じように、音楽ファンからは「当たり前じゃん」と言われてしまう位にそのステータスは高い。
あら話が逸れすぎてる。長くなるから全て端折ろう。
イマジネーションで素晴らしいのがフロイドなら、全く逆に、音楽そのものが魅力的なグループの代表がザ・ビートルズである。彼らのメロディーは20世紀No.1となった。もっとも口ずさまれたメロディーは彼らの数々の名曲たちである。「誰かの鼻歌になる」。これが端的に音楽そのものに魅力があることの証明だ。イエスタデイやヘイ・ジュードをハナモゲラ語でも歌う人はあとを絶たないが、クレイジーダイアモンドを鼻歌で歌おうにも難しい。開始8分間歌がないんだから。まぁそれはいいか。
Hikaruの書いた歌の中で最も鼻歌向けなのが「ぼくはくま」である。一応スタジオバージョンには色々と楽器が入っているが、別にあんなのは要らない。ベッドでくまちゃんと戯れながら「ぼくはくま〜♪」と歌えばいいだけである。極めてシンプル。ある意味、最もビートルズ的な魅力を持ったレパートリーといえるだろう。
一方、最もイマジネーションに訴えかける曲は、ヒカルのレパートリーの中ではどれだろう。抽象的で、口遊み難く、捉え所はないが、どうにも視覚を刺激する曲。こちらはぼくはくまと異なり、様々な候補が考えられるが、私は、前々から主張しているように、"Gentle Beast Interlude"だと思う。あそこまでヒカルが感覚で作りきった曲も珍しいのではないか。初めて聴いた時フロイドの"虚空のスキャット"を思い出したものだ。その意味で、私の中では同曲がいちばん"フロイドっぽい"レパートリーとなっている。
で、だ。この、ヒカルのレパートリーの中でも両極端の楽曲2つ、両方「くま」だよね。Gentle Beastって何なのか、これも人によって解釈は違うだろうが私の中ではひたすらにくまである。最も具体的でシンプルで親しみやすい歌にも、最も抽象的で捉え所がない曲にも、同じくまの称号を与えている所が、ちょっと気になったのだ。わかりやすさの方にくまを持ってくるのは当然としても、ヒカルの中でもわかりにくく、曖昧模糊としていて、アーティスティックな面もまたヒカHikaruにとっては「くま」なのだろうか。くまちゃんはHikaruにとって「絶対的存在」だと思うが、一方で「得体の知れなさ」みたいなものも、感じていたりするのかもしれない。いや、だからくまと呼ばずに"Gentle Beast"と言っているのかもしれない。いずれにせよ、フロイドを聴きながらそんな事を考えた、という点は日記としてここに記しておくことにするよ。嗚呼、またフロイドに浸ろう…。