無意識日記々

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Cynical 'Bout Utada Hikaru

DVD&BD合計8000枚という予想でも、かなり楽観的な数字である事は、予め記しておかなければなるまい。コアなファン以外、この作品を今購入する理由はない。有り得るとすれば、米国盤や英国盤であろう。つまり、日本以外での円盤の発売。それぞれどれ位の市場があるかは知らないが、2時間フルのライブDVD&BDは、米国盤なら$15〜20位で購入出来る。それをAmazonにでも輸入してもらった方が手っ取り早いだろうなぁ。これが日本盤だと6000円でしょう。照實さんなら必ずリージョンフリーにするだろうから我々が日本盤を購入する理由はひとつもない、と言っていい。ああ、フラゲ日に観れるってのがあるか。それ位だろう。

何しろ、In The Flesh 2010の動員数はアメリカだけで1万人を超える訳で、恐らくそれと同数程度の売上は見込める。あれから4年近く経ってるのをどう考えるか、だが。日本ではEXODUSが100万枚売れたし、This Is The Oneも6桁の売上だが、今日本で"Utada"の商品を買おうという人間は、恐らく全米のそれより少ない。そもそも宇多田ヒカル、いやUtada Hikaruに対する渇望感がない。多くの人が、荒れ地となった邦楽シーンに彼女が戻ってきて欲しいと願っているが、お金を払ってくれる人は極僅かだろう。桜流しDVDの初動が2万枚だった事を肝に銘じるべきだ。このうち、ここは意見が別れる所だが、半分は生粋のEVAマニア、つまりEVAの関連商品なら取り敢えず買う、という層だと私は見ている。配信で映像も買えたのだからDVDシングルをわざわざ購入するのは宇多田ヒカルからしてもマニア認定してよいと思うが、そういう人間は、どれだけ多く見積もっても2万人は居ない。ひょっとすると1万
人を切るかもしれない。

しかしこれは、宇多田ヒカルが大ヒットを飛ばせない、という話ではない。私は見ていなかったので知らないが、今クールのTBSドラマ半沢直樹(漢字が合ってるかどうかさえわからん)は40%超えの視聴率を記録したらしい。そんなドラマが今のご時世でもまだ現れる訳だから、そこの主題歌を歌っていればヒカルの歌ならば大きなうねりを作り出す事がまだまだ可能だろう。それは時の運次第だが、そうではなく、固定ファンがどれ位居るかという話である。

ヒカルは常々、私のファンは居なくていい、だからファンクラブも作らない、曲毎に好きになったり嫌いになったりしてくれればいい、という趣旨の発言をしてきたが、ここまで固定ファンが削られてくると(と言っても、ここ10年位は大体こんなもんだとも思うけどね)、実験的なシングルをリリースするタイミングがなくなっていくのではないかという懸念も浮かび上がってくる。Passionは円盤に限れば初動は5万枚弱、ぼくはくまも4万枚弱といった所だったが、これ位ならまだまだメジャーアーティスト。しかし、今このテの曲を円盤で出したとして、果たして1万枚を超えられるかかなり不安である。そう考えると桜流しみたいな本格的な楽曲が35万DLだか何だかという数字を出したのは奇跡にも思える。EVAが凄いのかヒカルの豪腕が凄かったのか或いはその両方か。勿論私の本音は「10倍売れても物足りない」なんだがそれはちょっと夢見すぎなので無視する事にしよう。


そういったなんやかんやを考えると、少なくとも日本では、ITF10の円盤はリリースしない方がいいようにも思えてくる。まず年内に全世界に向けて配信先行で発売し、今年度内に米国盤でDVD&BDがリリースされるのを待ち、我々は輸入盤を手にする、というのが現実的な落とし所ではないか。日本で円盤をリリースするなら、初回特典にNYショウケース050223のワンカメラ映像とか、ツアーのバックステージムービー60分とか、ダボス会議でのFly Me To The Moonとか、もう何でもいいから沢山つけて「これは買わなきゃ」という空気を作るしかない。で、多分それは無理だから今回は無理をしない方を提案しておく。消極的と謗られるかもしれないが、それくらいシビアに見るべき時期が来ているように思うのです。