無意識日記々

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UTADAの曲は『SCIENCE FICTION』に入るの?

前回取り上げたレア音源の中にも幾つか含まれていたけれど、UTADA名義の音源が『SCIENCE FICTION』に採用されるか否かも気に掛かる。

『BADモード』が初のバイリンガル・アルバムを謳うようになった今では、歌詞が英語なのか日本語なのかで名義を分ける意味も薄れている。であるならば、英語詞曲であってもベストアルバムに相応しければUTADA名義の楽曲が含まれていて然るべきだろう。

相応しければ…というところをどう判断するかだが、例えばUTADA名義の『EXODUS』は、既に日本市場全体でのCD売上に翳りが見え始めていた2004年に100万枚超を売り上げて日本で年間6位にランクされる程の大ヒットアルバムとなった。全編英語詞作品でこの結果は異例中の異例だった。これは勿論宇多田ヒカルの別名義ということで注目されたのも大きかったのだが、なんだかんだで日本ではあの「NINTENDO DS」本体のリリース時のCMソングとして『Easy Breezy』が有名になった事が大きかったのだろう…と思うんだけどこれちゃんと検証されたことがないんだよね。同曲のCDシングルが発売されなかったのが大きいんだが。(出たのはDVDシングルで、殆ど宣伝されなかった)

何れにせよ『EXODUS』というアルバムとその収録曲『Easy Breezy』に関しては、宇多田ヒカル初のベストアルバムの選曲時に名前が挙がっても何ら違和感はないだろう。

では2009年の『This Is The One』はどうか。こちらは週間アルバムチャートでも1位を取っていない、「ヒカルが1998年にデビューして以降最も売れなかったアルバム」であるのは間違いない(例によって某UTBはカウントしない)。なので、同アルバムやその収録曲に関して、ベストアルバムの選曲で話題に上らないのも仕方ない…

…とはいかないんだなこれが、うん。当日記で今まで何度も強調してきたように、宇多田ヒカル公式YouTubeの再生回数ランキングに於いて、同作からのシングル曲『Come Back To Me』は今以て第11位だ。アップロード日が極端に早いという大きなアドバンテージはあるものの、未だに2001年年間第1位の『Can You Keep A Secret?』より再生回数が多いのである(まぁいつかは抜かされるんだろうけどねぇ)。

これはつまり、当時箸にも棒にもかからなかった日本でではなく、それ以外の国で愛されているということだわね。実際、私がホノルルで観たときも大合唱度No.1はこの『Come Back To Me』か『First Love』かというほどに観客の反応は熱狂的だったのだ。

それを考えると、宇多田ヒカルのベストアルバムに『Come Back To Me』が入っていないのはどうなのだろう?という疑念が湧いてくる…と同時に、今まで触れてなかった根本的な問いにも踏み込みたくなってくる。それは、

宇多田ヒカル初のベストアルバム

 『SCIENCE FICTION』は、

 一体誰の為に、何の為に

 リリースされるのか?」

という点だ。もしこれが、例えば「日本国内のファンに向けて」のリリースだったなら、『Come Back To Me』が収録されていなくとも異論は少ないだろう。だが、「全世界のファンに向けて」だとすれば、様子が違ってくる。他にも、『光』でなく『Simple And Clean』を、『Passion』ではなく『Sanctuary』をそれぞれ収録して欲しい、なんて声も聞こえてくるかもしれない。

また、CDに付帯するモノの扱いもある。日本国内ツアー向けの優先抽選応募券(シリアルコード)なんかつけられても嬉しくない日本国外のファンは多かろう。逆に、是が非でも渡航してくるつもりなら絶対につけて欲しいだろう。どこの誰に向けて作品が編纂されるのか&制作されるのか。今回の商品を論ずるにあたって避けては通れない問題なのだった。次回はその辺の話から。