皆さん、お風邪などは召されていませんか。くれぐれも、お大事に。
では前回の続きから―。そういった伝統やルーツを否定するアティテュードから来るパンク/ニューウェイヴの流れを組む音楽にルーツを見いだすとは一体どういう事なのか…という続きの話はもっと込み入ってくるので今回はそちらから矛先を変えまして。もっとシンプルに「何故スコットランドなのか」について、基本的な所から立ち返ってみよう。
いちばんの理由は本当に単純で、「寒いから」だ。地球というのは広く大きい。ヒトが住むにあたって最も大きなファクターは気温である。熱帯に行けば夜寝るのにも布団はおろか家も要らない。道端に寝転べばよい。防犯上の心配は別として。一方で寒帯で服と家がなければ文字通り死ぬ。ここからして、あったかいところとさむいところでは「生きる」という事に対して基本的な所から違うのだ。
HikaruはNY生まれである。そして、(Hikaruも指摘されて気付いていたように)NYはアメリカの東北にあって、寒い。そこで生まれ育った部分から把握する必要がある。日本でも宮沢賢治に惹かれて(だけでもないか)東北地方に赴いたりしているが、何が共通してるって「寒い」のだ。人の感情の基礎はここで決まる。
ではスコットランドは寒いのか。私は行った事がないので知らない。しかし、スコットランド産の音楽は、幾らかその「寒さ」を運んできてくれる。如何に洗練された音楽といえど、その「寒い感じ」は消えないものだ。まずそこが基底路線である。(普通は"既定"路線ね)
しかし、ただ「寒い」だけなら他に幾らでもある。北欧諸国、同じイギリスのイングランド、ウェールズ、北アイルランド、そしてアイルランドにアイスランド、グリーンランドにカナダにアラスカ、シベリアでもいい。他に沢山の候補がある中でのこの「スコットランド」。これは何なのか。
実際、音楽ファンでも、かなり大抵、スコットランドが好きならアイルランドも好きだし、スカンジナビアンや、場合によってはカナディアンにも共通点を見いだして愛でる。特にトラディショナル系では、総てを"ケルティック"で括ってケルト系のファン、という自覚を持つケースが多い。Hikaruは、(少なくとも現時点では)そうなっていないのである。だから多分、ここから先の絞り込みは難しい。
そういった込み入った話は今回は置いておくとしよう。まずはスコットランドが「寒い」地域であること、NYや、日本の東北、場合によっては東京の冬も「寒い」こと。今回はそこだけ押さえておけば十分である。そして、これが何よりも重大なんだろうな。