無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

We should peceive we miss UH.

だからまずMTV Unpluggedの高音質音源をリリースしろと。

それはまぁいいとして。

これだけ宇多うた&シンコレハイレゾを取り巻いて「宇多田ヒカル不在」をアッピールしておきながら本人が産休に入るんじゃあ何となく勿体無いような。

宇多田ヒカル待望論というのはJ-popファン(と最近自分の事をそう呼ぶ人がどれ位居るかは定かではないが)の間でずっと根強いが、やっぱり本人が現れないまま4年も経つと端っこの方からそもそも存在を忘れ去られ始める。これがいちばん怖い。

ソングカバーアルバムがリリースされるという事でいちばん最初にいちばん大きかった反応は、「なんだ、宇多田ヒカルが歌うカバーアルバムじゃあないのか」、だった。つまり不平不満である。確かに、これは宇多うたアルバム自体には逆風といえる空気だったのだが、大局的にみれば寧ろこれこそ望ましい。

つまり、より多くの人に「今は宇多田ヒカルが歌ってないからつまらない」と思って貰える事が最大の目的なのだ。当たり前だがただの不在は全くニュースにならないし、ただその事実が喧伝されたとしてもそこに情緒は伴わない。「あぁ、確かに宇多田って最近みないね…で、何?」てなもんである。

しかし、宇多うたアルバムのリリースは、あからさまに人々を"ガッカリさせる事が出来る"のだ。情緒を伴って、宇多田ヒカル不在を認識させる。確かに、これ以上巧い手は思い付かない。沖田さんがそこまで考えてこの企画を立ち上げたか否かは定かではないが、結果的にそういう空気になっている。もしかしたら宇多うたアルバムは売れないかもしれないが、その事実ですら「やっぱり宇多田ヒカルが歌わないとダメなんだよ」という世論を形成する。

率直に言って、今ヒカルがカバーアルバムを出してもそんなに売れないだろう。SCv2とThis Is The Oneの中間くらいだろうか。それだと、「宇多田でもダメなのかぁ」という評価に繋がってしまうかもしれない。しかし、宇多うたアルバムは宇多田だ宇多田だと連呼しておきながら、売れなくてもヒカルは殆ど関わっていないのだからヒカルの名声に傷はつかない。本当によく出来たカラクリである。

それと同時に、今のうちにHikki_staffの面々と各界のクリエイティヴの皆さんの間に繋がりが出来る事も大きい。ひょっとしたら本ちゃんのアートワーク…即ち今度こそ本当にヒカルが歌う作品が出てきた時に、この中の誰かがジャケットを担当するかもしれない。動画を投稿している人は、PVを担当するかもしれない。

勿論それは参加アーティストの方たちもおんなじで、次のアルバムではクレジットに名を連ねているかもしれない。シングルのカップリングで、リミックスを担当しているかもしれない。そしてそれらが、世界契約に伴って全世界でリリースされるかもしれない。様々な可能性が広がってゆく。

だから、今関わっている様々な人々の名前を、アタマの片隅に置いておくのは悪いことじゃない。あぁこれはあの時のコラボがキッカケで…というのが常時になく団体様で押し寄せてきているのだから。

そういう風に考えていくと、今回のリリースを取り巻くシチュエーションとそのコンセプトが何であるかが見えてくる。別にUSBもハイレゾ配信も宇多うたCDも売れなくても構わないのだ。これらが売れなくても、ヒカルの名声に傷はつかない。総てが、壮大な実験であり、調査であり、つまるところリスナーとファンとクリエイティヴに対する宇多田ヒカルアンケートなのである。我々も、ここに参加する事に意義があるのだ。


…という風に目一杯前向きに今の状況を総括してみたが、なんだかんだで売れ行きがよくなければ宇多田チームはEMIの中で、UMGの中で肩身の狭い思いをする事自体は間違いないので、皆さん財布の紐が弛む限り何か買ってあげて下さいな。みんな身を切ってまで、世間の人々に「今宇多田ヒカルが居なくて寂しいですよねーっ!?」と大声を張り上げてくれているのだから。もう完全に、我々の感情の代弁者である。敬服。