「投げ銭」型と「お布施」型の分類が出来る一方、また別のやり方も参考になる。オンラインゲームの課金制だ。
まず無料で大量に人を集めて、そこに"世界"を作っておいてそこから内部での差別化を作る為に有料の仕組みを作るというやり方。どんな単純なゲームであってもこれは"擬似貨幣"を現実の貨幣に置き換えるやり方だ。
勿論、こんな方法をそのまま導入しろとは言わない。しかし、参考にすべき点はある。無料でも何でもいいから、まず人を集める事だ。これがなくては話にならない。そこは、かつての日本歌謡界も同じだったのだ。テレビやラジオで歌に親しんだ人々が何千万人も居た一方、レコードやカセットテープを購入する層は数万人、大ヒットでも数十万人だった。
「昔はよかった」に惑わされる事も多いが、80年代以前はミリオンヒットなど数える程で、極端な話今よりマテリアルは売れてなかったのだ。言い方を極端に悪くすると、「歌は耳にしているのにお金は全く払わない」という層が殆どをしめていたのである。今は真逆で、全く見知らぬ名前がチャートの上位に登場し、「誰?」となってる間に武道館公演を成功させていたりする。裾野は狭いが、熱心なファンがそれぞれのお気に入りを支援するという構図に移行している率が高まっているだろう。
ゲームの世界もたぶん、同じような道をこれから辿るだろうが、私は今のところ興味がないので放っておく。
かつてのような「大量のタダ乗り客」を引き連れるスタイルに戻る為には、要するにゴールデン・タイムにテレビ番組を持てばいいのだが、勿論それは現実的ではない。もし仮に宇多田ヒカルの冠番組が始まったら視聴率どんくらいだろと考えるだけで可笑しくなってくるが、そもそもヒカルはテレビ嫌いだし週一のサイクル(隔週2本撮り)のペースもそぐわないだろう。
せめて、不定期配信番組なら可能性は薄らと残るかもしれない。いちばんいいのは、都度有名曲カバーのスタジオライブを配信する事だが、現実は難しいだろうなぁ。
いずれにしても、「まず人を集める」というのは大事な観点である。次回は、そこらへんをもうちょっと突き詰めて考えてみたい。