無意識日記々

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泡沫の歌のこれから

Can You Keep A Secret?が発売になって今日で14年か。そんなに経つんだねぇ、という言い方は、歳をとった今ではあまりリアリティがなかったり。そりゃそれ位になるでしょ、みたいな感じである。

その後に続編とか劇場版とかがあって、そこでこの曲が、或いはヒカルが起用されなかったからか、今では「HEROといえば宇多田ヒカル」という空気は随分と薄れた気がする。私が続編を見なかった、というのも大きいかもしれないが。

実際、そこらへんは、例えばEVAやKingdom Heartsと違うところだ。意地悪な言い方をすれば、実写ドラマのファン…いや、テレビ視聴者は薄情なのだ、ともいえる。別に誰でもよかったのだ。勿論、実際の事情は知る由もない。本当は大激論の末宇多田の撤退が決まったのかもしれないし。そこはからん。しかし結果としてそれでGOサインが出たからそういうことなのだろう。これが例えば、木村拓哉を使うか使わないかではレベルの違う話になっていた。当たり前だけど。

テレビドラマの主題歌というのはそういうものだ。当たればあぶくのようにヒットが膨れ上がるが、後に残るのは薄く広がった膜である。皆が皆少しずつ「主題歌が宇多田でないのは残念だなぁ」とは思っているが、かといってそこにこだわって何かするかといえば「いや別に」なのだ。いい悪いでなく、そういうものなのだという話である。

しかし、だからといってCan You Keep A Secret?の人気が低いかというとそういう話ではなく、この曲自体が好きだというファンは多い。「HERO」と結びつけて語る層が薄いというだけで。

要するに、ドラマと歌がそこまでマッチしていなかったのである。それぞれが優れていて、それぞれが人気を博したが、同じ時間に同じ場所で出力していただけで、両者の相乗効果とかは別になかった。いや、宣伝上の効果は凄まじかったよ。宇多田ファンはこぞってこのドラマを観たし、毎週30%半ばの視聴者がこのドラマでヒカルの歌声を耳にした。だからこそのシングルチャート年間1位だ。ただ、作品上の相乗効果は特になかった、というだけである。

確かに、テレビシリーズ以降も伝説化したEVAや、次々と外伝等がリリースされるKHと比較するのは無意味かもしれない。ただ、それぞれの作品との繋がり具合というのは把握しておいてもいいんじゃないか。単純に、多くの人にとって、Can You Keep A Secret?という名曲との出会いを与えてくれた場所としてTVドラマ「HERO」は受け取られる。それ以上でもそろ以下でもなかった。あとは、この知名度を活かして、ヒカルがどのタイミングでこの歌をライブで歌うかである。In The Flesh 2010に参加してない人からすれば、もう何年聴いていない事になるのやら。次がいつになるかわからないが、楽しみに待っておく事にしよう。