無意識日記々

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キッカリ3333byteの文章(タイトルを除く)

ミュージックビデオの話はまた次の機会に触れるとして。

欧米コンプレックスみたいなものは、まだあるだろうか。唐突な問いだが、商業音楽勢は常に海外などないように振る舞う芸能界系の演歌・歌謡曲路線と、ひたすら欧米を追従して(追いかけはするが追いつく気はない)卑屈になってるPops/Rock路線があった。まぁこれは音楽に限った話ではないのだが、EVAQに、違う、オバQに出てくるドロンパのように事ある毎に「アメリカでは」と声に出す人が居た。尊敬する、お手本にできる対象が居るのはいいことなのだが、向こうが自分たちの快適さを追究して作り上げた土俵に上がって「敵わない」と嘆く姿は常に滑稽だった。そら無理やろ。

そういった"コンプレックス"は勿論日本に限ったことではなく、例えば英国人のエリック・クラプトンは「黒人のようなブルーズ・フィーリングを出せない」と常々悩んでいたという。ほんまかいな。あんまり彼のインタビュー読んだことないから知らないのよね。これも、ブルーズは黒人音楽なのだから白人には合わなくても不思議ではなく白人なら白人なりの音楽を追い求めればいいのに、と思ってしまう好例だ。いや、そりゃ本人がそうしたいならいいんだよ。それによって落ち込んだり愚痴ったりやる気を無くしたりするんだったら、もっと得意な事をやればいいじゃないさと。他にもっとうまく出来る事があるのにわざわざ違う土俵に上がろうとするのは寧ろ不遜であるとすら思える。身はひとつなのだから、いちばん生産的な・ポジティブな道を進んだ方がよい。繰り返すが、本人が苦闘したがっているならこの限りではない。寧ろブレイクスルーを目指して欲しいと応援しよう。


Hikaruはそういうコンプレックスとは無縁であるように思える。日本の歌謡曲もPopsも、恐らく演歌も歌えるし、英語の歌もロックやソウルに限らず幅広く歌える。作曲能力に関してもEXODUSとThis Is The Oneの2枚を聴けば明らかだ。幅広い音楽性に取り組む事も出来れば、コレというひとつの決まった得意なスタイルに特化する事も出来る。万能である。

だから、そんな人が欧米で成功しても、当たり前の事で別にどうって事ない(その才能と努力を賞賛する事はあってもそれ以上の物語はない)話なんだけど、Hikaruがビルボード1位をとったら「遂に日本人が」って言われるんだろうか。

時期による気がする。今の20代以下には欧米コンプレックスみたいなものはなく、良くも悪くも内向きで、まぁスポーツの日本代表が活躍したら素晴らしいよねという位だろう。だから、彼らがもっと年齢を重ねる頃には、Hikaruが海外で今まで以上に活躍しても「へ〜それは凄いね」みたいなノリになるんじゃないかと。

40代以上にとっては「こんな日が来るなんて」になるかもしれない。

まぁHikaruには関係ないっちゃ関係ないか。照實さんからすればもしかしたら圭子さんからの"悲願"になるかもしれず、感慨深いものがあるかもしれないが、彼の場合そんなにコンプレックスがあるようにもみえんなぁ。成功したいと思っていた場所で成功する、悲願とか念願というのならしっくりくる。

若い人たちには興味の無い話だったか。

それに、Hikaruの能力が突出し過ぎているというのも問題だわね。野球でいえばイチローみたいなもんだ。今年は昨年一昨年に較べ随分報道量が増えている気がするが、それを見ればわかるように、彼は国籍や人種を超越した、野球というスポーツに永遠に名を残すレジェンド中のレジェンドである。悔しかったら262安打を162試合で打ってみろと。その圧倒的な実績の前には彼が日本人である事など些細な話に過ぎない。アメリカ人だろうが韓国人だろうがキューバ人だろうが今と同じようにレジェンドだ。日本語喋ってくれるお陰で何かと有り難い事はあるけれど。

まぁHikaruはそこまでは行かないかもしれない(行くかもしれない)が、似たような感じである。国籍がどこであろうが、優れた音楽家である事は間違いが無い。ただその仕事を素直に評価するだけで十分である。