無意識日記々

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シン・ゴジラを、観てきたよ(1)

本来、ゴジラにそんなに興味はないのだが、庵野秀明監督でタイトルに「シン・エヴァンゲリオン」と同じく「シン」の名を冠する「シン・ゴジラ」には、少しばかり興味があった。シン・エヴァと某かの世界観の繋がりがあったりしたら、次のヒカルの主題歌に遠隔的に影響が出るかもしれない。それに、公開直後のレビューはどれも絶賛ばかり。嗚呼、私も情弱かな、「そんなに評判がいいならみてみるか」となった。ネットの言説を鵜呑みにしてはいけませんよ。

だがしかし。今回ばかりは鵜呑みにして正解だった。2時間目が離せなかった。名作とか傑作とかいうより、ここは怪獣映画に敬意を表して怪作と呼ばせてうただきたい。これは、凄いよ。

何しろゴジラ作品を最初から最後まで観るのは私初めての事なので過去の作品との比較は出来ないし、何よりあの鈍重なデザインの怪獣に何の思い入れもないのだが、それでも"あのテーマ曲"が流れ出してきた時のカタルシスは半端ではなかった。それだけ、上映時間である2時間という枠の中での構成力は抜群である。台詞もカット割りも隅々まで計算され尽くしていて、こんな見事な特撮実写映画が日本でも撮れるのかと感嘆してしまった。特に最近観ている実写モノがとと姉ちゃんだけなのでもうなんというか落差がね。実際、脚本の洗練度はとと姉ちゃんの1000倍はいい。(庵野秀明クラスの天才が現れるのはとと姉ちゃんの脚本担当の人たち(誰だか知らない)が生まれる1000分の1の確率、の意)

ただ、内容の進捗はほぼ密室での会話に依っている為、なんだか「12人の怒れる男」を3倍速で観ているかのようであった。その映像とゴジラの映像が、入れ替わり立ち代わり。いうなればTBSスタジオに居る織田裕二世界陸上のスタジアムとのコントラストみたいな。いやそれは違うかもしれないけれど、時折差し挟まれるセンセーショナルな特撮場面と対比するかのように、ストーリーはひたすら会話の応酬で進んでいく。

しかし、その会話の応酬のテンポが尋常ではない。次から次へと出てくる専門用語の数々に、横幅10mくらいを横断して表示される(銀幕だからね)長い長い役職名。それに伴って出てくるお馴染みの役者さんたちの顔、顔。あれ全部追いかけるのは至難の技だ。というか無理だ。

しかし、この作品の肝はここにある。特撮のゴジラが圧巻、というのは観ればわかる。しかし、彼(たぶん性別はない)の画面への登場の割合はそんなに多くない。2時間の尺の殆どは政治家たちの会話劇なのだ。ここを楽しめるかどうかで作品の評価が変わるのである。


…なんだか話が長くなっちゃってるな。気が向いたら次回また続きます。