突然だが『Addicted To You』を『中毒』と称するのを如何しようか現在考えている。その為最近はこの呼び方を使うのを控えている。長年慣れ親しんだ愛称だから問題無いとする考え方も勿論あるとは思うのだが。
何故今になってこの点に気になりだしたのかというと、どうにも「中毒」という日本語の使われ方が危ういのではないかと気が付いたからだ。具体的なキッカケは忘れてしまったけれど。
何がどう危ういかというと、「中毒」が「依存症」と独特に混用されている点だ。代表的なのが「アルコール中毒」で、これは本来、読んで字の如く「アルコールの毒に中(あた)る」症状の事だ。平たく言えば、その人にとってアルコールが毒物として作用したケース。「急性アルコール中毒」ならその症状がファストに表れるって事。
ところが、よく人を指して「あの人アル中だから」みたいな使い方をする。もしかしたら最初に言った人は冗談のつもりだったのかもしれないが、これだけ定着してしまった。勿論この「アル中」が何を指しているかといえば「アルコール依存症」である。「アルコール中毒」=「アル中」=「アルコール依存症」の図式がこうして出来上がり、ここから「中毒」=「依存症」という等式が成り立つようになってしまった。
歴史的な経緯は知らない。実際、辞書には「中毒」=「依存症」という意味も載っている。日本語としては誤用ではない。従って使い手が2つの意味を混同している、という指摘も出来ない。しかし、この2つを混ぜて用いるのが危ういのではないかと思う人は案外多いのではなかろうか。
『Addicted To You』を『中毒』と呼ぶのに倣って、だったかどうかもう忘れてしまったけれど、我々自身にもその混用は及んでいる。「私たちは宇多田ヒカル中毒だから」という意味で自分たちHikkiファンの事をいつしか「ヒカチュウ」と呼ぶようになった。これは、宇多田ヒカルの毒に中ったと言うべきか、宇多田ヒカル依存症に陥ったというべきか、或いはその両方か。
正直、普通の神経をしている人なら自分の事を毒呼ばわりされてはいい気はしないだろう。依存症の対象として見られるのも、そこまで夢中になってくれるのを喜ぶ事も可能かもしれないけど、若干の気持ち悪さはいつまで経っても消えない。
今までは別に構わなかったと思う。しかし、これからの時代に合うかどうかは未知数だ。実際、Hikki Junkieとしか言いようのない人間だって世の中には居る。私? 自分じゃそのつもりないんだけど(笑)。まぁそこは勝手に判断してくれれば。それはさておき。
別に「使うのを辞めよう」と呼び掛けている訳ではない。ただ、「中毒」と「依存症」という、少し地続きだが別々の概念が同じ1つの日本語で語られている事を知っておいて欲しい、というだけである。
これまでの社会通念であれば構わなかった。しかし、今後も同じ様子である保証は無い。変化には柔軟に対応し、軋轢を解消するように務めたいところだ。
しかし、となると、『Addicted To You』や「熱心なHikkiファン」を呼ぶ時の愛称が新しく必要になるかな? 前者は「アディク」なんかでよさそう(実際、こう呼ぶ人の方が多いし)だけど、後者がなぁ。いいのがすぐには思いつかへんわ。誰ぞ考えてくれへん?w