無意識日記々

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幻が立ち現れる迄あと一週

妙な間合いだな。まぁいいか。

あと一週間で『Fantome』が店頭に並ぶ。このリズムは『宇多田ヒカルのうた』の時にも見せてもらった。更にあそこから年月を経てまた微調整が効いているのだろうが、あと8日間で本当にガラッと空気が変わるだろう。ピークの持っていき方はまさに集団心理戦だ。

今日零時からのEVAQ攻めもまたこのリズムに貢献している。『花束を君に』のミュージックビデオから始まって、『道』、『二時間だけのバカンス』と惜しみなく投入されていく。

しかし、この流れはつまり、何か1曲をドカンと投入すれば済むアルバムではない、という事も示唆されている。シングル曲としての決定打が多分無いのである。いや、一曲はあるかもしれないが、それはシングルカット用にとってあるのだろう、『Prisoner Of Love』のように。

確かに、ポップでキャッチーだからといって『二時間だけのバカンス』に総てを任せるのはリスキー過ぎる。これは、好き嫌いが激しい。しかも、割合は半々である。更に、これがウケる層はひとの顔色を窺う。趨勢によっては爆発するし、空気によっては爆縮する。勿論、前述したように、当たってしまえば大ヒットだ。特に、LIVEで盛り上がる事は間違いない。林檎さんパートをどうするかという問題はありますが。

そちらがどうなるかわからない中、『道』は言わば保険である。宇多田ヒカルの、宇多田ヒカルによる、宇多田ヒカルらしいリーダートラック。『DISTANCE』や『traveling』並みの人気を獲得できるかと言われればわからないが、今までのファンは安心して楽しめる。私としては「『This Is The One』に入ってそう」というのが正直な感想だが、そこらへんはあんまり日本人に知られていないので今言わなくていいヤツだな。

そしてEVAQの映像復活は勿論、ヲタク側の宇多田ヒカルファンを目覚めさせる。恐らく、『二時間だけのバカンス』を気に入る層と、驚くほど重なっていない。それは『道』にもいえる事だが、梶さんはこのラスト10日間で“合算”を狙ってきているようにみえる。ゴールデンタイムのテレビドラマで、お互いにファン層の重ならない、しかも確実に固定ファンがチェックしにきてくれる役者さんを多数多彩に揃えるように、ヒカルの楽曲の多様性を利用して、排他的に重ならないファン層をひとつひとつ取り込みに来ている、そう解釈している。

となると、ここから一週間の“動かし方”みたいなものを予想してみたくなる。『二時間だけのバカンス』で30代女性とか90年代J-popファン層を呼び寄せ、EVAQでヲタクどもに思い出して貰い、あそうそう、キングダムハーツの『光』と『Simple And Clean』の新しいリミックスもあったな、ここもしっかりつっついている(弱いとは思うが)。そういう組み合わせの中で、今日はMusic Stationに出演して『桜流し』を歌うというのは、なんだろう、そういった様々な計算を超えたものも想像してしまう。

確かに、この曲知らない人も多いんじゃない? 一部の熱狂的なファンは勿論御存知過ぎるほど御存知だが、EVAQにも宇多田にも興味無い人が触れる機会ってそう多くはない。特に、Music Stationを観るような層には効き目があるかもわからない。

勿論、テレビ出演の選曲理由はどれもシンプルだ。「NEWS ZERO」だから『真夏の通り雨』、NHKだから『花束を君に』。わかりやすい。こういった"配置"の数々が、どこにどのような影響を齎していくか。梶さんはどこまで計算・予想しているのか。特に、フィジカルを売るには随分先まで見通して初回生産量を決めねばならない。今彼はその数字を具現化すべく目標をもって動いている。どこまでそれに迫れるかはわからないが、かなりやってくれてる予感はする。あとは結果を見るだけだ。私たちは、素直にヒカルのお喋りを楽しむ事に致しましょ。