無意識日記々

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『宇多田ヒカルのファントーム・アワー』

間際になって凄いのぶっこんできたな。確かに、101局で同じ番組を流すだなんて前代未聞だわ。もしかしたらギネスに登録出来るんじゃないの? 更に「シェア・ラジオ」なるサービスの皮切りにもなるらしい。『サントリー天然水 presents 宇多田ヒカルのファントーム・アワー』。歴史に残る番組になるか。

いやね、勿論『トレボヘ特別編』か『帰ってきたクマ・パワー・アワー』くらいはやるんじゃないかとは思ってたの。今回もラジオ重視だし。でもそれじゃあ全国5局ネットかInterFM1局かでしょ。101局パワープレイには相応しくないように思ってたのよ。そこでまさかの全局1時間ジャック。こっちが本当のパワープレイだよ全く。

これが大規模メジャー・レーベルの力かと唖然とさせられる。日本の民放ラジオ各局は一枚岩ではない。複数の系列に分かれている(だからトレボヘは一部の局でしか放送されない)。それを説き伏せて纏め上げるとは。短波局まで含めてだよ。気の遠くなるような規模だ。だってメール一回送るだけで101通だよ? LINEで連絡取れるようにするのもSkype会議開くのも一苦労。一体何をどうやって全体をオーガナイズしたのか。梶さんは魔法でも使ったのか?

もう随分と生活の中でラジオの割合がテレビより大きくなっている私のような人間にとっては大きな朗報以外の何物でもないが、しかし、普段ラジオを聴く習慣のある人間はそんなに居るのか?というのが正直な疑問である。いや寧ろ、これをキッカケにしてラジオを聴くようになる人が増えればいいのか。

鍵となるのは、本来なら、Earpodsだ。iphoneは今回の7/7plusからイヤホンジャックが廃止になった。ライトニングケーブルのアダプターの音質は随分酷いらしい。音楽ファンからすればけしからんとしか言いようがなさそうなところだが、これは勿論無線イヤホン普及への布石である。ライトニングケーブルアダプターに気合いが入っていないのも、有線イヤホンに愛想を尽かせる為である。無理矢理にでもEarpodsを使うように、と。

そのタイミングでラジオのニーズが浮上してくる。スマートフォン全盛時代だ。スマートフォンを弄っていられる時間に如何にして食い込むか。どうやって音楽が付け入るか。その時にラジコやシェアラジオといったツールのニーズがどうなるかだ。無線になるとイヤホンを身に付けている時間が格段に増える。問題はBluetooth規格の諸問題だ。充電・遅延・断絶等々。そこをクリアーできていればEarpodsは次の時代を捉える事が出来るだろう。現時点での記事を読む限り「まだ無理」一択のようだが。

話が逸れた。ヒカルのラジオをまた聴けて嬉しいという話だ。惜しむらくは、その放送が今週だったらなという事だが、シェアラジオと足並みを揃える事を優先したのだろう。宇多田陣営は、今や初動売上がどうのという狭い世界の話ではなく、日本という国の中でどうやって大衆音楽という文化を育んでいこうかというスケールのドデカい所に焦点を当てている。最早、来週発表される初動売上枚数に対してあーだこーだと野暮な事は言うまい。ヒカルの歌を通じて、日本人がまた歌を愛して歌に親しみ直せるかどうか、そこの所が肝心なのだ。その大きな"夢"の先陣として、『Fantome』は位置付けられている。長いスパンで眺めて、その真の影響力の度合いを計っていきたい。

それにしても、『クマ・パワー・アワー』に引き続きヒカルが全プロデュースだなんて、そんな手作り感満載な音楽番組が10月11日から17日の一週間日本中で流れるかと思うとわくわくするねぇ。楽しみ。