無意識日記々

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鉛の話

『俺の彼女』のサウンドを語る場合、その楽器編成からしてまずジャズ、或いはクラシックの方面からアプローチするのが本道だと思われるが、私はメタラー。ここはロックサイドからこの曲を聴いてみたい。

いきなり歌い出す曲は過去にも幾つかあったが、それは『光』や『Flavor Of Life』のようにサビから始まるケースであり、『俺の彼女』のように"ぬるっと"始まる歌は珍しい。

そこで歌と一緒に始まるのが、あなアコースティック・ベースによる降下フレーズだ。それを初めて聴いた瞬間、即座にレッド・ツェッペリンの「幻惑されて(Dazed And Confused)」が連想された。幻という字が如何にも『Fantome』に相応しいが、なんだろう、そのシンプルな音階から感じるスケールの大きさにツェッペリンと同質の何かがみててらるた。

楽曲は途中、俺パートから彼女パートに移るにしたがい、ベースラインも下降から上昇に転じる。ここらへんの構成力もまたツェッペリン的である。

更に後半、楽曲は少しずつ弦楽器による熱を帯びてくる。この場面でも、レッドのツェッペリン気配に魅了された耳だったからか、同じくレッドツェッペリンの名曲「カシミールKashmir)」が思い出された。重いリズムにどこか冷めた視線。盛り上げるのに冷静で沈着なあの感じ。確かに、共通するものがある。


つまり、私からみれば、楽器編成はまるで異なるものの、『俺の彼女』は楽曲構成上とてもレッドツェッペリン的で、前半は「幻惑されて」、後半は「カシミール」を彷彿とさせる楽曲である。よもや、日本語の宇多田作品でこんなにもチャレンジなサウンドが聴かれるては夢にも思っていなかった。フルコーラスを聴き終えた途端に感嘆の溜息を吐かざるを得なかった。本当に、素晴らしい名曲である。海外の人達(非日本語圏の人達)にも、そこそこ受けるんじゃあないだろうか。これから耳にするだろうリアクションが楽しみであります。