無意識日記々

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Automatic Part3はあるのかな?

宇野さんがまたヒカルに関する新しい記事をリリースしている。メディアの中で彼ほどヒカルの実情を正確に把握して執筆してくれるライターさんも稀なので、大変ありがたい。SONYに移籍してもうすぐまたヒカルに注目が集まる時期がやってくる。是非踏ん張ってうただきたい。

本文の大意については同意で、こちらから付け加える事はない。そのまま鵜呑みにして貰って構わないだろう。こちらとしては、ファン向けに重箱の隅でもつついておこう。

勿論私が突っつくからには『This Is The One』の所である。『EXODUS』と共に「失敗」扱いをされているのに違和感を感じる。再三再四指摘してきた様に、この2作品に対する市場の反応は別物であり、そもそも同時に論ずる事自体に無理がある。

何をもってして「成功」「失敗」と判断するかは難しい。しかし、宇野さんの書き方だと2作品が同じ理由で「失敗」したかのような誤解を与えかねない。仮に「失敗」と断ずるにしても、その原因は別々に考えなくてはならない。

『This Is The One』は、音楽的実験精神に溢れた『EXODUS』とは異なり、2009年当時の米国国内市場に合わせて制作された「メイン・ストリーム・ポップ」アルバムであった。ここを踏まえなくてはならない。

従ってプロモーションの方向性も基本的に一貫していて、R&B寄りのラジオ局でのオンエアを中心に人気を獲得していった。リーダー・トラックであった『Come Back To Me』はアルバムのフィジカル発売直前にはリズミック・チャート(ソウル/R&B系専門局を対象としたチャート)では39位まで上昇、総合ポップ・チャートやアーバン系ステーションも合わせると一週間で1000回前後のオンエアを獲得するまでになっていた。何度も繰り返してきているが、YouTubeの再生回数からも明らかなように『Come Back To Me』はそれなりに普通にヒット曲なのである。

これ位の小規模ヒットでは、ヒカルのポテンシャルからすると市場で成功したとはいえない、という評価なら同意する。しかし、それまでの一般常識的な感覚では『This Is The One』のビルボード総合69位という成績はLOUDNESS以来の好成績であり、これを「失敗」として片付けるのは無理がある。

そのチャートインは2009年5月の話だが、それはフィジカルCD全米発売のタイミングであって実際は2009年3月の時点で全米他向けにデジタル版が先行リリースされていて、その時点でビルボード総合178位に初登場している。69位という成績は、この初登場分の数字を割り引いた末の順位だ。なお、iTunes Storeではポップチャート2位、総合チャート18位まで上昇が確認されている。

更にその半年後には全10都市を回る全米横断クラブツアーを成功させている。完全ソールドアウトとはいかなかったようだが、その際にお互い全米や英欧で小さいながらも確固としたファンベースが築かれていた事を確認した筈である。

そういった前提を踏まえた上での『Fantome』の3位や『光 Ray Of Hope』の2位である。ヒカルの力からすれば本来これらも失敗扱いすべきだが、それを言い始めたらキリがないのでやめとく。

ともあれ、『This Is The One』が「失敗」扱いに押し込まれるとすれば私は不本意なので、何度も何度も書いてきた事をまた蒸し返させてうただいた。我ながら相変わらず大人気ないなぁ全くもう…。