無意識日記々

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嗜好品観察

煙草に関する国会審議では「飲食店全面禁煙」から「喫煙店未成年者入店禁止」という話が出てきたようだ。事の是非は兎も角、ちゃんと中身を議論している、という事だろうか。

自分は今回の審議にどうして欲しいという主張がある訳ではない。世の中がどうなっていくか観察しているだけ、に近い。自分に利害が及ぶかどうかわからない領域にこうやって関心をもっているのは、議論の推移の質に注目している点が大きい。

毎度「煙草も大麻(或いはマリファナ)も大してかわりはない」と書いている私だが、医学的根拠がある訳ではない。ただ、ロック・ミュージックをずっと聴いている身としてこの四半世紀、覚え切れない程の「ドラッグ禍に見舞われたミュージシャンのニュース」に触れてきた中で、大麻マリファナが害になったというニュースを一回も見た事が無いのである。大麻常用者が何人も居るというのに。

コカインやヘロインの害で倒れた、搬送された、入院したというニュースは幾つも見てきた。マリファナは一例も思い出せない。あるのなら教えて欲しい。マリファナ常用者が倒れた、というのではダメですよ。「泥棒の9割はパンを食べてる」みたいな話にしかならないので。

そういう理由で、私には大麻マリファナになんらかの短期的な害があるとはどうしても思えないのである。長期的な害はあるのかもしれないが、だとしても煙草と同じような程度だろう(かなりだなそれ)。従って、今の日本の法律がどうであれ、それについて他者に対して「やめとけ」と言う言葉になかなか力が入らないのだ。せいぜい、「今の法律じゃダメだよ」くらいしか言えない。これが日常生活の中で…まぁ使う場面ないんだが…。

害がある、という点でタバコやマリファナなど較べ物にならない嗜好品が世の中には蔓延している。アルコールだ。先のミュージシャンの例でいえば、アルコール依存症に罹って治療を余儀無くされたミュージシャンなら幾つか思い出せる。思い出せていないものもあるような印象だが、兎に角マリファナより格段に多い事は間違いない。

アルコールは法律で許可されていて母数が圧倒的だから、被害に遭う人も必然的に多くなる、という論は苦し紛れに響く。そもそも、即座に酩酊状態を作り出せるという点で既に危険だ。車の運転をみればわかるだろう。喫煙しながらの運転は、寧ろその覚醒力で居眠り運転を防止できるという意味で推奨され得る(片手運転の危険性と天秤にかけられる)のに対して、酩酊中の運転は如何なる場合でも推奨されない。短期間で効果が消える為重要視はされていないが、明らかにその他のドラッグ以上の危険性がある。中長期的にみても、アルコール依存症患者の数は潜在的なものまで含まれれば社会問題といっていいレベルだろう。詳しくはぐぐってね。

つまり、それぞれの薬物としての危険性と法律上での取り扱い、そして社会通念はそれぞれてんでバラバラだというのが観察者としての印象で、その歪み具合が今後どうなっていくのか(是正されていくのか更に歪んでいくのか)が興味の対象である。本来法律や社会通念や実際の被害度は"順当"であるべきものだ。窃盗より殺人の方がほぼ総ての場合において罪が重い。嗜好品についてはそうなっていない。21世紀にも慣れてきた今その経過をじっと眺めているのは、社会勉強として悪くないかもしれない、そう思うのでありました。