無意識日記々

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いきぬきとかたならし

大谷くんは今日も見事な出来映えだったようだ。一ヶ月経ってもう二刀流(よくこれいうけど刀二本てどちらかといえばスイッチヒッターとかスイッチピッチャーの事言うんじゃないのかねぉ)懐疑論は随分と薄れてきたようだ。記事によるとサンデーモーニング張本勲まで折れつつある。世界一の野球選手を目指す立場からすればこれ位なんでもないのだろうが、大したもんだねぇ。

現役時代にパ・リーグで3085安打を打った張本は、元日本ハム監督の大沢親分亡き後も日曜朝のコメンテーターを続けている。同番組の視聴週間はないのだが、スポーツ記事をチェックしていると必ずといっていいほど彼の日曜朝のコメントが記事になっている。更新時刻をみるとまだ番組オンエア中にアップされたものもある。そしてインターネットでの反応をみてみると、老害だ妬みだ僻みだとコテンパンに叩かれている。大人気だ。

こういう人が必要なのだろう。大谷翔平のような完璧以上超人がいる一方で、張本のように貶される有名人がいる。人は、日本人は、誉めるのが苦手だ。誉める事がよしとされている社会では、誉め言葉から嘘っぽさを抜くのには表現技術が要る。一方、貶し言葉は、貶す事が社会的によしとされていない以上、ただ直接言葉にするだけでリアリティが出る。難易度は較べるべくもなく、インターネットは貶し言葉で溢れる。

張本は日本のプロ野球選手唯一の3000本安打到達者で、掛け値無しのレジェンドである。だからこそ、叩くのに遠慮は要らない。誰が何を言ってもその偉業は揺るがないからだ。その上で、故大沢親分のキャラクターも手伝って、年月をかけて「嫌われ役」の地位を築いてきた。ますます希有な存在だ。

番組中に記事がアップされる位だから、皆張本のコメントを待ち構えているのだろう。そしてアップされた途端、待ってましたとばかりに手綱を緩めて叩く。レジェンド相手だから遠慮は要らない。どう足掻いても弱者いじめにならないからだ。更に、張本自身はインターネット上での自分の発言に対して反応しない。ひたすら、無知で不見識な発言を繰り返して叩かれるネタを提供し続けているだけだ。全くもって仕事人である。

人を嘘から離れて誉め続けるのは体力と技術が要る。それは時に人を疲れさせる。大谷翔平を賞賛し続けるのはいいとして、もう片方で「わかってないなぁ」と呆れる道もまた必要だ。なんだかFacebookTwitterみたいな関係だが、そうやって人の均衡は保たれている。物を壊してスカッとしたり、汚い部屋に居ると落ち着いたり。壊してはいけないものまで壊したり、惨めになるまで汚したりまですると後悔するのだろうけれど。そこらへんのふらふらをうまく調整しながら、のらりくらりと生きていくのが庶民の処世術ってもんだろうな。

自分も3DVRを1ヶ月叩き続けていた時は随分イキイキしてたなぁとか思い出しつつ人を誉める話を書き続けますよ。