無意識日記々

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There's No "First Love Part2."

『初恋』というアルバムタイトルを聴けばオールドファンは(いやオールドでなくても)『First Love』を思い出さずにはいられないが、さてでは、そのわかりきった感情に応えてくれる曲はあるのかな。つまり、『First Love』収録曲のアンサーソングだとか続編だとか、そういうのはないのかなという話。

ヒカルはこういう時結構あからさまだったりする。一番の例は『This Is The One』の『Automatic Part2』だ。日本語圏でのデビュー曲のパート2ってまぁどんだけそのまんまなのか…。歌詞の内容もラップにありがちな自己紹介。いやこの曲はラップじゃないけれども。

ただ、この曲は、アメリカの人たちにとってはどうかわからないが、日本のファンの期待に応えたとは言い難い。まぁそもそもこのアルバムを聴いてる絶対数が少ないのですが。いつもの2割くらいか? ジャーナリストなんて殆どがこのアルバムの存在を知らない。『EXODUS』の順位を例にとって「宇多田の海外進出は失敗に終わった」と言いたいが為にそこそこ成功した『This Is The One』は目障りなんだろうな、というのはわかるけれども。皮肉はこれくらいにして。

日本のファンの期待に応えなかった、というのは『Automatic Part2』が『Automatic』と似ても似つかぬ、関連性のまるで見いだせない楽曲だったからだ。歌詞は全く関係ないし、曲調も乖離している。どちらかといえば『FYI』の方がずっとオートマの曲調に似ている。つまり、そういう曲調やクォリティーの曲が全く書けなくなっていたなら兎も角、その頃以上にしっかり曲が書けて続編に相応しい曲まであるのにそちらをパート2にしないで他の曲に名前を与えたという意味で「期待に応えなかった」と言ってみている。

極端な話、中身ではなく名前の付け方の話でしかない。ヒカルはそういう事をしたこともあるから、今回『初恋』という曲、『初恋』というアルバムを作ったからといって『First Love』とすぐにリンクするかというと懐疑的にならざるを得ない。

最後の『はつ"こ"い〜』の"こ"の部分だけ音程を変えて高く上げてくるのを聴いていると、まぁそりゃ名作になるよねとは思うものの、単純に「初恋(First Love)」について歌った歌の続きが「初恋」になる訳がない。初恋は生涯一度きりだからこそ初恋だ。その後の恋は初めてでは有り得ないのだから。「初恋Part2」なんてナンセンス極まりない。そう考えると『初恋』にとって『First Love』は邪魔ですらあり、積極的に無視して異なる世界線を強調するのが賢明とすらいえるだろう。

それを解決する為には、例えば、自分の初恋についてではなく、他者の、誰かの初恋について歌うのなら続編とかアンサーソングとかもあり得るのだが、まずは12日後に配信開始する『初恋』を待つ事にしよう。