無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

大人の童謡

アルバム『初恋』は最初に『Play A Love Song』があるだけで名盤確定なのに3,4曲目の『初恋』『誓い』が凄すぎてもう…! 特に『誓い』はトレイラーで高まり切ったこちらの期待に見事以上に過剰に応えた圧巻のフルコーラス。何というのだろう、聴いてると何度もどっかイってしまってなんともイケない。イケるからイケない。もう何言ってんだかわかんないけど実際聴いた人はわかってくれると思う。それ位ヤバい。

でシングルの売上からすると次の『Forevermore』で聴き手の好みが別れるんだが残念な事に皆さん御存知私この曲が大好きでしてね。いやはや、もうここに至っては何度昇天したやらわかりません。異常ですよこのアルバムは。

で、エクスペリメンタルな『Too Proud』を挟んでシンプルな歌詞の『Good Night』が最高のクロージング・トラックでもう。歌詞にしろ曲調にしろ嗚呼やっぱり『初恋』は素晴らしい名盤でしたありがとうおやすみなさいっ!って言って終わってもいい満足度を齎してくれた所に私の感覚でいえば2枚組の2枚目が始まるんですよ。そう、あの曲で。

パクチーパクパク・パクチーパクパク・パクチーパクパク・パクチーパクパク・Uhhh……

真剣に言うぞ。考えてみる。この超絶アルバム『初恋』の12曲で、最も後世に残って"クラシックス"として生き残る歌って何だろう。

前半の7曲も凄かったけどまぁこの後の『残り香』『大空で抱きしめて』『夕凪』『嫉妬されるべき人生』もとんでもなく筆舌に尽くし難く…! 正直大空で天翔る星に祈りを捧げた後にどんな曲来たって蛇足じゃろがい位に事前には思っていたのにもう一瞬にして手のひらクルーですよ。夕凪も嫉妬もなんじゃこら度ドMAXでね…!

こんなアルバムなのに、でも、いちばん"残る"という意味でクラシックスの可能性が最も高いのは『パクチーの唄』だよね。と私は思うのです。

昔「宇多田ヒカルの作った歌の中で、宇多田ヒカルの名が忘れ去られた後も歌い継がれる歌があるとすればそれは『ぼくはくま』ではないか」と指摘した。ヒカルが『ぼくはくま』を『最高傑作かも』と自賛した事を受けて。如何に『First Love』や『traveling』が名曲でもそこに『宇多田ヒカルの』という冠がついていないのは考え難い。が、『ぼくはくま』は、日本の邦楽市場が壊滅しても、いや、日本という国が無くなっても世界のどこかで歌い継がれてるんじゃないかという希望が見いだせるのだ。

その意味での"最高傑作"に匹敵する凄味を、真面目に『パクチーの唄』から感じる。初恋も誓いも夕凪も嫉妬も"従えて"、この曲が超絶絶対名盤『初恋』を"支配"している気がする。

だって、食べ物であるパクチーを食べるオノマトペたるパクパクと繋げたんだよっ!? 日本語わかる人だったら絶対そこで、「くだらねー(笑)」含めて笑顔になる筈だ。そう、この唄を聴いた人の殆どがきっと笑うのだ。それってとんでもなく凄くない? それも、笑いを取りに行くギャグソングかと思いきや結構曲展開がお洒落…! 形態は違うがボサノバソングにも通じるポップソングとしての商品性を感じる。一方でこどもが聴いても面白い。大人も唸らせられる。いわば『パクチーの唄』は「大人の童謡」なんだと思う。

それに、たとえパクチーを知らなくても、いや、日本語がわからなくても、ただひたすら『パクチーパクパク』の繰り返しが音として面白い。日本全国のまだ言語未習得なこどもたちに聴かせてみた反応を知りたいよ。老若男女誰もを笑顔にさせ、素人も玄人も唸らせる。ズバリ言ってザ・ビートルズクラスの名曲である。スト…いや流石にそれは言い過ぎか…。