無意識日記々

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敬遠されるエレキギター

アジカン後藤正文氏があるトークイベントでこんなことを言っていたんだと。

「最近、音楽のストリーミング・サービスなんかで一番飛ばされる瞬間って、ギターが鳴った時らしいんです。どこでみんながそのアルバムを離脱したかが、データでわかるらしくて。ギターが鳴った時に、特に若い子たちが、次の曲にスキップすることが多いっていう話を聞いて、すげぇショックだなと思って。僕は、ギターだけ弾いてここまで来ちゃったから。」

へぇ、そんなことまでわかるの。演奏再生時間もカウントしてるとは聞いていたけど。どの国のデータなのかはわからないけど、まぁ納得。ここ10年くらい、ビルボードのロックチャートでも上位にくるのはギターが鳴ってないか鳴ってても添え物なものばかり。ストラクチャーやフィーリングはロックのそれなんだけどね。ギターリフがドギャーンみたいなのは滅多に聞かれなくなった。

まぁ、これは自然な現象でな。そもそも音の小さいギターという楽器の音量を無理矢理大きくしているのだから音が不快になるのは必定で。ただ、ずっとギターサウンドばかり聞いていたら「エレクトリック・ギター・サウンドはそもそも不快」という事実を忘れてしまう。慣れって怖い。

昔のヒカルの耳もそういう感じがあってな。エレクトリック・ギターのサウンドが好きと言って憚らなかった。それも高音部がキンキンのヤツ。で、自作曲でもギターをフィーチャーしようと日本を代表するロックバンドGLAYのリーダーにしてギタリストであらせられるTAKURO氏を捕まえて『ドラマ』を作ったのだがまぁギターのうるさいことうるさいこと。耳障りったらなかった。

昨年、いや今年にズレ込んだんだっけ、アルバム『DISTANCE』のリマスタリングがリリースされるということでちょっとはマシになってるかなと朧な期待を胸に聴いてみたのだが、既報の通りそのギターサウンドに然したる変化もなく。嘆息せざるを得なかった。

そもそも不穏さや禍々しさを演出したくてエレクトリック・ギター・サウンドを用いるのならドンピシャな訳で、果たして『ドラマ』にそれが必要だったかというと意見が分かれるというか…いや、ギターを用いるにしてももう少しハイを抑えられなかったのかというね。うらぶれた感情を表現するのにギターを使うのは正解だったとは思うんだけども。

『初恋』でもエレクトリック・ギターは使われているが基本上品でジャジーな使われ方だ。唯一、『Laughter in the Dark Tour 2018』の『Automatic』で“贔屓の弾き倒し”なギターソロがフィーチャーされたのがロック寄りなエレクトリック・ギターの使い方だったかな。今後もっとエレキなサウンドを使ってきてくれてもいいけれど、私としては自分の好みと上述のような現状を踏まえた上である程度ハイをマイルドにしたサウンドを所望しておきたい所存ですよっと。