前にもちらっと触れたが、「360 Reality Audio」というシステム自体に物凄く期待しているかといわれたら、あたしゃそんなでもない。要点は、ヒカルが今音楽家だという一点に尽きる。そこを外していなければ、試みなんて幾ら失敗しても構わない。逆に、初心を忘れた状態で(商業的にであれ何であれ)何らかの成功を手に入れてしまうと後戻りが出来なくなる。
最初に判断出来ることは最初に判断し決断してしまわなければならない。東を目指しているのに西に一歩目を踏み出してしまったら、後の手順が総て正しかろうが永遠に東に辿り着けない。
勿論世界は面白く出来ていて、ずっと西を進み続ければ東に辿り着くようになってはいる。が、もうそんなに若くないでしょ。音楽家というぶれない立ち位置で居ると決めているのだからそれは堅持しておけばいい。
だからといって、例えばライブフォトブックなんぞ無意味とか言うつもりも毛頭無い。あクマで主従の話である。どちらがメインかというのをハッキリさせておくこと。見た目も大事だが歌を疎かにするほどでもなかろ、と。
ただ、長い人生の中でヒカルが、ある時は作家に、ある時は映画監督になりたくなったりするかもしれない。それはまたその時だ。そうなった時にまた主従のバランスを決めれば済むこと。音楽家であるたった今、歌を蔑ろにしてヴィジュアル重視になるのは違うだろう、と。
いや誰もヴィジュアル重視だなんて思っていないよ…というのは間違い無くそうなんだが、寧ろそっちの方が怖くないか。皆無意識ってのは。自分自身も含めヒカルのヴィジュアルを楽しむ事自体はどんどん推していきたいが、一方でこういう「当たり前過ぎて誰も言わないけど肝心なこと」をしっかり口に出して言う人が一人くらいは必要じゃないのかなと。実際には口に出してなくて書いてるだけだけどね。でもそれが“無意識日記”ってもんでしょ。
まぁその話はそろそろいいか。今日からソニーストアデイズなので、お暇な方は足を運んでみてくださいな。もう十何年になる付き合いの小森くん師匠による初の公式リミックスとなる『Play A Love Song』と『あなた』の音源を聴けるのは今の所ここだけなんだからね。行って聴いてみるといいと思うよ。