無意識日記々

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もしやヒカルも“ゲームミュージックの大家”?

ゲーム音楽について書いていたらすぎやまこういちの訃報が。享年90。また偉大な音楽家が旅立ったか。

もう少し上の世代の人たちにとっては彼はグループ・サウンズの名曲群の作曲者なんだろうが、自分の世代にとってはインパクトが抜群な「ゲームのサントラでオリコン1位を獲得した音楽家」である。ゲームミュージックが!? インストゥルメンタルが!!??と本当に衝撃だった。それだけドラクエが売れたということもあったが、勿論彼の書いた楽曲が素晴らしかったのがいちばんである。

ドラクエRPG夢幻の心臓」をモデルにゲームシステムが構築されているが、三十数年前にそんなニッチなスタイルがあそこまでヒットしたのは、何よりも鳥山明によるヴィジュアル・イメージと、そしてすぎやまこういちによるバック・グラウンド・ミュージックのキャッチーさ故だった。ゲームをやっていない人間ですら彼の書いたメロディが流れてくるとあのファンタジーの世界を思い描いた。いやほんとに見事なものだったよ。

さて。先日の「キンハのソラがスマブラ参戦」のニュースと共に、『光』のオーケストラ・ヴァージョンもまた多くの人々の耳に届いたようで。流石に自分は『光』のメロディに慣れ親しみ過ぎているし、ゲームも(頑なに)やっていないのでその旋律をキングダムハーツの情景と結び付けるような事にはならないが、ゲームから入った人たちにとっては『光』のメロディがゲーム内の感動的なエピソードと分かち難く結びついている筈だ。そんな人達からしたら、宇多田ヒカルも、すぎやまこういち同様「ゲームミュージックの作曲家」という認識を持っているのかもしれないのよね。

YouTubeが走り始めた2005年、ヒカルの音源が真っ先に全世界的なブレイクを果たしたのはキングダムハーツゲームミュージック/バックグラウンドミュージックとして、だった。『Passion』をフィーチャーした動画は再生回数400万回を超え、当時ですら結構話題になった。まだスマートフォンのスの字も無い頃だ。

それ以来、海外での宇多田ヒカルの人気を最も鼓舞し続けてきたのが「キングダムハーツ・シリーズ」だった訳で、そこでまずヒカルの音楽に触れてきた人々からしたら、宇多田ヒカルの名前はそれこそ冨田勲喜多郎坂本龍一川井憲次などのインスト音楽の大家たちや、すぎやまこういち植松伸夫などのゲーム音楽の大御所たちと同じ路線の許に轟いているのかもしれない。

いや勿論、いちばん有名なのは「J-Popアーティストの頂点のひとり」という側面だろうとは思うが、ポップ・ミュージック・リスナーとゲームミュージック・リスナーってかなり離れた位置に居そうな気がする。なので、いちどヒカルも海外でアニメやゲームのコンベンションに参加してどんなリアクションが得られるか見てみて欲しいという気もしなくもないんだけど、そんな暇あったらフル尺のライブコンサートしてくれよってのが、偽らざる本音ではありますわね。