近年周りの評価に較べて無意識日記さんのテンションが上がらなかった曲といえば『あなた』だけれど、そもそもそういうパターンは最初っから存在していてな。あたしゃあんまり『Automatic』でテンションが上がらない。これはかなり圧倒的少数派。
年齢からして当然1999年初頭にはこの曲が大ヒットしているのは認知していたのだが、それを聴いた時はそこまでインパクトを受けなかった。寧ろそれで話題になったから取り上げられた『Close To You』での歌唱力と続いての『Movin' on without you』の作曲能力に吃驚させられた方がどちらかといえば(ミュージシャンとしての)ファースト・インパクトだった。それでも熱心に追い掛けるに到らずテレビで喋ってるのを見て漸く食いついた、そんな流れでファン(…なのだろうかコイツは?)になったちょっと“違う”人なのだコレを書いている人は。
とはいえ、流石に20年間もずっと聴いていると愛着も湧いてくるもので。今や『Automatic』を聴いていると“安心”するようになった。特に楽曲自体の評価が変わることはないのだけれど、この曲の役割はいつでも重要かつ明快だ。CD時代においては8cmと12cmを合算するとダブルミリオンになる隠れ売上1位曲だったりする。そして、もちろんデビュー曲であり、最大多数の人にとっては出会いの曲だ。ここでインプリンティング云々と言っても余り意味はないのだが、ファースト・インパクトの印象というのは歳を取れば取るほど重要度が増す。少なくとも『Automatic』を歌わずにライブを終えるようなことは今後も無いだろう。
こんな風に言ってはいるけれど、別に『Automatic』が嫌いとか退屈とかいう事では無いから誤解の無きよう。『あなた』もそうだけれど、単に「この1曲でのめり込む事になるかと言われればそうでもないかな」という程度の話でしかない。何れもレパートリーのひとつとして普段から楽しませて貰っている。通算再生回数を見せる事が出来れば「これでよくあんなテンションの低い文章が書けるなっ!」と驚かれるんじゃないかというくらい。他にも『Wait & See ~リスク~』なんかもそうなんだけど、大ヒットしたからって世間の評価に倣う必要なんて無いのだ。正直な感想こそいちばんヒカルの参考になる。無理して振る舞わなくていいんですよっと。