ヒカルのモチベーションに於けるファンへの依存度はとても少ない。確かに、買う人が居るから商売が成り立っているのだが、別に売れなくなったら隠遁生活を送ればいいだけなので焦りはないだろう。どちらかといえば今のモチベーションは息子に母が頑張っている所を見せたいという面が大きい。
ヒカルがそういう発想になるのは、ヒカル自身、母が舞台に立つ背中を見て育ったからだ。それがこどもに大きな影響を与える事を身をもって知っている。であるなら、子を育てるなら自分もそういう背中を見せよう、となるのは須らく自然の成り行きなのだろう。
『Laughter In The Dark Tour 2018』のアイランドステージで遠慮なく背中を見せていたのも、何かそういう事だったのかもしれない。そんな物理的な話なの!?と言われそうだが、バックバンドも見えない一人きりの空間で歌を響かせるというのはかなりの自信と覚悟が無ければ出来ないだろう。ある意味、あの時ヒカルの後ろ姿を観ながら歌を聴いていた観客は、ステージ袖で藤圭子の舞台姿を眺めていたヒカルの幼少時の原風景を擬似追体験出来たようなものだったのかもしれない。とても貴重。
背中が綺麗といえば『In The Flesh 2010』の『You Make Me Want To Be A Man』のドラミングが忘れられないな─と私が言えるのはステージ向かって右側に陣取ってライブを観ていたからだが、いや、物理的な事も重要だわやっぱな。印象に残るのよ。
勿論、背中が最終的に語るのは「生き様」というヤツなのでそれにどう感化されるかなんだけど、ダヌパは今、母のどんな背中を原風景として焼き付けているのだろうか。スカートの中の方が……だとか言い出さない事を祈りたい。いや、羨ましいとか思ってないよ!?