『誰にも言わない』を聴いていると頭が真っ白になる。いいとか悪いとか感動するとか泣けるとか興奮とか退屈とか快とか不快とかあれやこれやを感じて気づき考える前に「ヒカルがいる」「この曲が在る」“That's all. (Q.E.D.)”となって終わる。だから前回敢えてディテールから入った。全体像についての言葉がまだ無いからだ。一生無いままなのかもしれないけれど。
なので、今回もそのままディテールの話。
時間がたてばわかる、だけど、時間の流れから外れてでも大切にしたい今があるからわからなくなっても構わない。それが『誰にも言わない』だと書いたが、デビューアルバムに既に同じコンセプトの歌がある。『Give Me A Reason』だ。
何度も『Give me a reason to.../理由を教えて』と迫り続ける歌だが、最後の最後に『ほんとはワケなんていらない』と本音が飛び出す。わかりたかったわけじゃなかったの、と。大体同じだよね。
この曲は、なんだかんだ言って若い。
『Only 16 今夜矛盾だらけの自由に
追われながら走り出す』
『子供みたいに声を上げて走ろう』
それぞれ最初と最後の一節だ。そう、こどもは元気に走るのだ。余談だが同じくデビューアルバム収録の『Nevet Let Go』でも『不安の中走ってく』『はだしでかけていこう』という感じ。こどもは元気に走るのだagain。
これが『誰にも言わない』になると
『One way street 照らす月と歩いた』
である。おとなは落ち着いて歩くのだ。随分変わった。
変わらないこともある。沢山ある。
『明日を見つめようとしないで』
『明日から逃げるより今に囚われたい』
『いつか君に追いつきたい』
『過去から学ぶより君に近づきたい』
『振り返りながら来た道』
『いくつもの出会いと別れ 振り返って思う』
『一人だけの誓い ぎゅっと囁いて眠る』
『今夜のことは誰にも言わない』
2つの歌の歌詞を交互に並べても違和感がない。一貫している。
そしていちばん変わったところ。
『もう少しだけ素直でもいい』
『回り道には色気がないじゃん』
言い方が婉曲から直接に変わった。これは自己言及だ。歌詞自体の傾向そのままである。
ここから先は話が長くなるので、続きは週末のインスタライブ最終回(!!!)を挟んでまた次回から。