無意識日記々

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『振り返って、思う』

世が世であれば、我々は『Time』と『誰にも言わない』の後に「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の主題歌まで体験していたかもしれないのか…何その世界線…。

イギリスでロックダウンがなければインスタライブは無かったかもしれないが、サントリーのCMとドラマの主題歌は疫病禍とは関係なかったろうからリリースは確定事項だったんだよね。一体どんなプロモーション活動をするつもりだったんだろうな。「マツコの知らない世界」への唐突な出演も、理由を回収するステップがあったのかもわからない。

『Time』と『誰にも言わない』がそれぞれに補完し合うように強烈で、それぞれに評判が良く、ロックダウンが無ければ順風満帆な雰囲気だっただろう。本人の出演するミュージック・ビデオも観てみたかったな。

18年前の『Deep River +』(仮称)の時は逆で、ミュージック・ビデオは作られたけどシングル・カットは為されなかった。アルバム発売後のシングル・リリースは『FINAL DISTANCE』と『Prisoner Of Love Quiet Version』という神憑り的な名曲を生んでいるので、もしかしたら『Deep River』にも更なる運命があったのかもしれない、なんて事も思う。勿論、時を戻す呪文なんて知らないからどうにもならないのだけれども。

どうやら、『誰にも言わない』の冒頭部分、『いくつもの出会いと別れ 振り返って、思う』の一節に触発されてしまってるな今の私。別の世界線と今の世界線。いろんな可能性はあったけど、そうはなっていない、こうなっているのが今なのだ。(「海賊王になってないのがお前だろ」っていうルフィのセリフを思い出すなぁ…)

『誰にも言わない』。この歌にはやはり魔法のような力がある。ヒカルが常々感じていた「時間観」が、漸く歌という形態で表現され始めている。『Passion』で描かれた、「過去と未来に挟まれた無力で矮小な今」ではない「過去と未来を等しく内包する今」。それに基づいて好きな歌を口ずさみながら月と歩くのが今のヒカルなのだ。なんだろうな、明滅の合間に普遍と局在が戯れ合う。知っていたフェイズに現実の世界でカタチが与えられた。なんだろう、結局凄すぎて何もわからない。そりゃ『I won't tell.(私は、わからない)』って、言いたくなりますわねこれ。