約束と誓いの違いについてのエントリには未だにアクセスがある。それだけ『誓い』においてホットなイシューなのだろう。寒くなってきましたね。
その時恐らく(ってもう何書いたか覚えてないのよね)、他者性の有無が鍵だと書いた筈だ。例えば、約束を違えた時には約束した相手即ち他者から責められるが、誓いを違えた時に起こるのは自責だろう。神に対する悔恨てやつだね。
『誓い』における『約束』の扱いは手厳しい。
『約束はもうしない
そんなの誰かを喜ばすためのもの』
『今言うことは受け売りなんかじゃない
約束でもない 誓いだよ』
受け売りとは他者の言葉をそのまま言うこと、約束とは他者との取り決め、となると誓いとは自分自身に課す望みと祈りであろう。
ただ、この解釈だと楽曲の最後の最後がしっくり来なくなる。
『日の昇る音を肩並べて聞こうよ
共に生きる事を誓おうよ』
『共に生きる事』をそれぞれが自分自身に対して誓うのであれば美しいのだが、ここで『誓おうよ』と『あなた』に提案して成立するとそれは「約束」になるのではないの? ここが危ういように思う。『Simple And Clean』に出てきた、「だ、だからって僕が君のお父さんに会わなきゃいけないわけじゃないだろ?」と焦る男の事を何故か思い出したよ。
まぁそれは置いておく。私自身、まだこの解釈に悩んでいるので。
異なるイシューを付記しておこう。
『朝日色の指輪』というフレーズはとても印象的で、この歌のハイライトのひとつだが、そこに気を取られてその次の助詞が『に』である事を時々見落とす/聴き逃す。そう、ここって
『朝日色の指輪“に”しよう』
なんだよね。同じ色の指輪の方は
『同じ色の指輪“を”しよう』
なのに。指輪とサ変動詞の組み合わせはこちらの方が普通だろう。
何故『に』なのかといえば、指輪自体が朝日の色な訳ではなく、二人で朝日を一緒に見て同じように陽光に光らせよう、という意味だからだ。ここが『に』だからちゃんと伏線となってラストの『日の昇る音を肩並べて聞こうよ』に滑らかに接続される。ここが「を」だったらこうはいかない。
「指輪」というのは、例えば婚約指輪ならその名の通り結婚の約束の指輪だ。しかし、ここは『約束はもうしない』『約束でもない』間柄の二人がつけている指輪なのだからこの『指輪』はエンゲージリングではないということだ。では、この『指輪』の意味は何かというとそれが次回のテーマになるかな。お楽しみに。…いつもながら、全く違う話してるかもしれんけどね(笑)。