無意識日記々

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昨日が節分な変わった今年

プログレおじさん的には今週末TRANSATLANTIC6年ぶりのニューアルバムが発売されるということで色めきたっている。21世紀最高の名曲のひとつとして彼らの「旋風」を挙げる向きとしては(なお78分の曲です)興奮を隠すのが難しい。

しかも前代未聞なことに、今回の新作は同じ一つの作品を60分バージョンと90分バージョンの2つ作るという話。更に更に、60分バージョンは90分バージョンの単なる短縮ではなく独自のパートも満載なんだとか。わかりにくくはあるが、そう、こういう一見難解な事にチャレンジしてこその“プログレッシブ”・ロックだよねと誰かに同意を求めたい気分。四文字略語の「プログレ」の枠からはみ出るような傑作を期待したい。

2021年は全世界的に未だ感染症禍下にあるとはいえ、ミュージシャンたちは開き直って新作を発表してくるだろう。なかには、当面ライブが出来ないからと思いっ切り実験的な作品にアプローチする傾向も表れるかもしれない。

昨年は、先行きの見えない中で巣ごもりを強いられたということで、アコースティックかつ内省的な作品が多かったように思える。米国発だとそれにBLMや大統領選が事情として混在したというかね。

ヒカルの場合、恐らく『Time』にしろ『誰にも言わない』にしろ、楽曲制作自体は感染症禍と直接は関係なかった筈だ。『Time』はミュージック・ビデオで苦労したし、『誰にも言わない』はレコーディング最終盤がロックダウンに引っ掛かったけどね。とはいえ「サントリー天然水」のCMは無事流れていたので、そうね、創作上でパンデミックの影響が出てくるのは今年発表になる作品からだろう。

『One Last Kiss』に関してはそこの判断が難しい。「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」自体、本来エヴァQの半年後とかに上映される筈だったのだから一体いつ取り掛かり始めた作品なのかわかったもんじゃない。一方でフランスネタを仕込んでいる事から完成させたのはこの1年か2年のことではあるのだろう。映画の立ち位置的に、感染症禍についての言及や影響が皆無でも問題ないといえばないしな。

となると、今後発表してくるであろう更なる新曲にどんな影響があるか、だ。2012年の『桜流し』は2011年の東日本での震災を思わせる描写が散見された。というか、『見ていた木立の遣る瀬無きかな』などはもうそのままかもしれない。今回はロンドンが世界の中でも目立って大変な雰囲気なので、当事者感覚もより強い。作詞は勿論の事、サウンドメイキングも、今までロンドンで日常的にライブを観賞することで感じてきた肌感覚みたいなものが途切れてしまっているかもしれないので、少し独自の変化をもっているんじゃないかという気はしている。気が早すぎるが、今年産まれてくる作品はこの1年の経緯をよくよく踏まえた上で対峙していく事になるかもしれないね。