無意識日記々

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インタビューの字幕について

ノンバイナリ発言に対して「知ってた」で終わらすつもりがTwitterで延々連ツイしてしまい。やれやれ。リスニングの不備で訳が変わるかとも思ったけど検討してみた結果「訳自体は変わらんなぁ」という結論になったので、「私の訳」については変更なしということでひとつ。

https://twilog.org/i_k5/date-210704/asc

実際、日本語字幕には問題がある。わかりやすいように「誤訳」と明記したがそれに抗って「逐語訳としては間違っていない」と強弁することも可能だ。だがそれは形式上の話でしかない。本来翻訳とは「その人が言いたかったこと伝えたかったこと」を出来るだけ正確に汲み取って言語を変換するのが理想だ。多くの誤解を生むまではまだしも、本来宇多田ヒカルが言いたいことが何であるかを予め知っている層にすら「Hikkiどうしちゃったんだろ?」と不安を抱かせるような日本語字幕は誤訳以外の何物でもない。あんな(英語での)台詞は長年のファンからすればそれこそ「知ってた」で済ませて終わりなのだから。

こちらとしても折角決まったタイアップ、波風立てたい訳が無い。炎上商法なんて資生堂のようなハイブランドには似合わないだろうし。だが、誤解と曲解を主流派にするようなのは不味い。それらは常に付き纏うものだし、逆にそれらが全く生じないなら言論の不自由を疑うべき事態なのでもっと悲惨なのだが、曲解の主流化は表現活動自体を大きく萎縮させる。「どうせわかってもらえないんだから何も発信したくない」と思えてしまうとね。それは、普通に避けなければならない。

今回はヒカルも大型タイアップということでかなり計算づくの行動をしたようにみえるが、それが常にであるとも思えない。中には何気なく言ってしまって問題になる例もある。まぁ物凄く少ないけどね。例えばシスジェンダー属性のことを“straight”と書いたりして…おいおい、それくらいしか思いつかんぞ。本当に安定してるな。信用に値する。とはいえやはり常に計算づくという訳では無い事は間違いないかなと。

そんな人がCM撮影というとんでもない契約金と人員が動く仕事で失言を放置する訳もなく。勿論大規模商業活動なのでカメラの前で喋る事など全体の仕事のうちのほんのひとつでしかない訳で映像の最終決定権を持たされている訳でもないだろう。そんな中でインスタライブを最大限活用したといったところか。

勿論ヒカルに誰かと敵対する思惑などなく。ただ単に資生堂側の立場を慮って上手く丸く収める方向に持っていったということだろう。

考えてみよう、もしヒカルの事前のノンバイナリ発言無しに

「女性であることは自分自身であることです。」

みたいな日本語字幕がいきなり目に入ってきていたら? ぶっちゃけ私でも戸惑うよ。いつもと言うてること違うやん、と。今回はノンバイナリで騒がれている中で見せられたから確信をもって英語を確認することが出来た。(聞き取りが不完全だったのは申し訳なかったが。まさかmyselfじゃなくてmyselvesだったとは…TENさんツイートどうもありがとう。大意に支障がなくてよかった。連ツイ全消しになるかと思ったぜ。まぁそれはさておき。)

そういうifを頭に思い浮かべるのは大事な事だ。もしヒカルがこう言っていなかったら、と。確かに一部のヒカルの過去の発言を知らない、いやそもそも宇多田ヒカルという人を知らない層からは誤解が生じているのだろうが、単にノンバイナリだとかそういう言葉が新しい段階だからだわな。中には、新し過ぎる言葉は誤解の方が普及してしまうことすらある。「壁ドン」とかそゆやつだね。そういった「言葉の動き」に異様に敏感なヒカルを疑う事ほど時間を無駄にする事もそうそうない。迷ったらヒカルを信じる。それで大体人生上手くいくのだと改めて肝に銘じておきたいところなのですよっと。