無意識日記々

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配信が先!?その2

今回の配信ライブ『LSAS2022』は配信期間が短いのが特徴だ。

2022年1月19日19時から

2022年1月23日22時まで

という、実質4日間しかアーカイブ期間がとられていない。普段のオンラインライブが大抵1週間アーカイブなのに慣れている身としてこれは面食らった。

技術的な面や契約的な面もあるのだろう。多種多様なプラットフォームを使い多国籍で配信する場合の調整の難しさは想像に難くない。なんとか整理できるのが4日間というリミットだったのかもしれない。

それでもこれは、戦略の一環なのだと解釈している。そもそも配信ライブと聴いて思い浮かべた「普段のコンサートの体裁」ではない、「発売になったばかりの最新作の楽曲を演奏するスタジオライブ」というところがね。

1月19日から4日間しか配信されないとなると、恐らくアーカイブ難民が大量に出るだろう。そして、例えばテレビでコンサートの話題が出る場合、明日明後日どこそこで誰それがコンサートをするという予定の情報より、昨日一昨日どこそこで誰それがコンサートをしましたという過去の報告の話題の方がずっと取り上げられる訳だから、それで知ってからアクセスするとなるとね。テレビとしても放送できる映像素材があるにいかというのは随分に大きいので、どうしても1月20以降に取り上げる事になる。

そして、恐らくだがチケットを予め買って望む割合よりそのニュースを聴いて関心を持つ層の方がずっと多い。しかし、実質3日間でアーカイブにアクセスできるかというとかなり無理。

そうなった時に4週間後にその配信ライブを収録したDVD/Blurayが発売されるとなったら一気に関心が集まる。今回、今までの、宇多田ヒカルの代名詞になりつつあった(?)『通常盤1形態仕様』を捨ててまで初回限定盤を制作したのは、CDのリリースの本命がその映像商品だからだ。

だったら最初っからライブDVD/Blurayとして販売すればいいんじゃ?と思いそうだが、観客の居ないスタジオでの演奏を収録したDVDを単体で買いたいと思ってくれる人は随分と少なくなるだろう。最新作のCDとリミックスCD、更に話題になった配信ライブとそのメイキングという合わせ技によって、「円盤買おうかどうしようかな?」と迷っている層を揺り動かす事が出来る。そう考えたのではないか。

そもそも、配信より先にCDをリリースしても、ストリーミングの習慣が確立してる人はわざわざフィジカルを買わない。いや勿論買う人は居るには居るのだろうがここ数年『Face My Fears』や『One Last Kiss』のフィジカルをリリースしたことでそこらへんの購買行動データはかなり分析されている筈だ。だったら、まずはアルバムの配信で大きく数字を叩き出して各メディアにとりあげてもらい、更にそこに配信スタジオライブの映像も加わって、そこからCD購入層にアピールするのが吉だという結論になったのではないだろうかなと。

今回のプロモーションはかなりのギャンブルだ。CDアルバムという形態が今後どう存続するか、どう変化していくかを占う試金石になる。毎回言っているけれど、アルバムという形態は別に永遠不変なものでも何でもない。日本市場史上最高の売上記録を持つ宇多田ヒカルであっても、いや、だからこそ、今後も試行錯誤が続いていくのではないだろうか。