おぉ、タワレコ渋谷でポップアップストアとな。凄いことやるね。まぁこれは行ってみてからだねぇ。楽しみがまた増えた。プロモーション頑張ってくれるスタッフの皆さんに感謝したい。どうもありがとう。
思い入れは費やした手間暇に比例するな~と、やや当たり前の事を呟いてみる。アナログ盤の面倒臭さはそのまま思い入れに転嫁しがちだ。盤をそ~っと取り出してターンテーブルにのせ、きっちりホコリを拭い徐に針を落とす…そういう儀式が思い入れを作る。なるほど昭和育ちな旧世代の感覚、とてもよくわかる。
とはいえ、あたしはそういう"古き良き"が好きな一方で、今の技術への感謝の念もとても強い。メタラーなのでヘドバンしやすいワイヤレスイヤホンは最早生活必需品だし、ストリーミングサービス無しでどうやって生活していたかもう忘れてしまった。漫画「ワンピース」もフィジカルで持ってる癖にデジタルで95巻まで揃えている。単純にカラー版がその巻までしか出てないからだけど、いやもう現代技術万々歳な人間である。そんな人間でも、今回のアナログ祭りはかなり意義のあるイベントになる予感がしているのだ。
ヒカルは、インスタライブでも語っていた通り、その時々のテクノロジーを歌詞にすることを厭わずに来た。お陰でそろそろ次世代のファン達に『Automatic』の歌詞のあれやこれやを説明をしなくちゃならなくなっていきそうなのだが、そういえば88risingの新曲「T」でヒカルの隣のウォーレン・ヒューは「ダフトパンクみたいに着飾って」とかなんとか歌っていた気がするな。そんな風に歌詞に取り上げて貰えるってところにダフトパンクのキャリアの偉大さと壮大さを再認識するが、そういえばダフトパンクのデビューアルバムってリリースされたのが1997年で、cubic Uのデビューアルバムのリリースとは1年しか違わないのよね。そこらへん、ウォーレン君はわかってて歌ってたのかしらん。君がレジェンド扱いしてるフレンチ・デュオと、一緒にデュエットしてる歌手の人は殆ど同期に近いんですよと。
つまり、もうヒカルは「歌詞の中で歌われる方」になりえる位のキャリアがある訳だ。いやそんなこと言うならオリビア・ニュートン・ジョンはデビューから10年経たないうちに杏里に「オリビアを聴きながら」を歌われとるやないか、とか昭和の人間はツッコんでくれるだろうかな。まぁそんなケースもあるんだけどさ!
ヒカルはUtada名義では固有名詞をよく使う。エルビス・プレスリーやフレディ・マーキュリー、キャプテン・ピカードにウィノナ・ライダー…。で、今やヒカルはそろそろ自分が彼らのことを歌ってきたように今度は歌われる方になってくると思うんだけど、レコードショップにアナログ盤が居並ぶ風景は、そういう空気を醸成・加速させる気がするのだ。古き良き時代の感覚と、ヒカルのキャリアの長さが上手い具合に"誤解"されて、宇多田ヒカルというアーティストのもつレジェンド感を少しずつ作り替えていく。だから、アジアのレジェンドとしてコーチェラに出演したこのタイミング後にタワーレコードでアナログ祭りっていうのは、キャリアの流れの中で結構記念碑的な、シーンの中でのキャラクターを更新するような、そんな面倒臭い「儀式」になるように思うのだ。
そんな風だから、関東近隣の方は来週遠慮なく渋谷に足を運んでみては如何でしょうか。私も勿論、赴きますよ。宇多田ヒカルの「みられ方」がここら辺から変わっていった、そんな思い出が作れると思うのです。