『Find Love』の受け身感は、ここらへんの歌詞にも表れている。
『Though I took whatever came my way
I'm paying for it now, baby
Well I don't wanna lead them all
But I don't wanna see them go』
グーグル先生が訳すとこう。
「私は自分の道に来たものは何でも取ったが
私は今それを払っています、ベイビー
さて、私は彼らを導きたくない
しかし、私は彼らが行くのを見たくありません」
これを元にあたしなりに訳すと、こんな感じ。
「来る者は拒まず手を取ったけど
今になってそのツケを払ってる
僕が引っ張ってきた訳でもない癖に
彼らが去る姿は見たくない」
要約すると、
「来る者は拒まず、されど
去る者は憂う。そうしてきたけど
積もり積もっておかしくなった」
という意味になる、のかな?(ちょっと自信が無い)
『But I don't wanna see them go』が、“But I don't wanna LET them go"ではないことがポイントだ。「彼らを去らせたくない」ではなく、「彼らが去るのを見たくない」。彼らが去らないよう自分が積極的に動こうという意志は感じられず、ただそうなるのを指を咥えて眺めているだけ。そう解釈するとここの『see』は、前回取り上げた『watch out』に通じるものがある。
このような心境からサビを経て2番のアタマで状態が変わるのだが、ひとまずこの『Find Love』1番冒頭時点での歌詞は、『キレイな人(Find Love)』の同じ箇所の歌詞、
『王子様に見つけられたって
私は変わらない
12時の鐘に怯えなくてもいい
汚れたドレスに裸足の私も
いい感じ』
に漲る積極的な自己肯定感とは対極にある。『私もいい感じ』に対して『今そのツケを払ってる』(≒不適切な行動が蓄積されてた)だもんね。
何故同じ曲なのにここまで1番の歌詞のテイストが異なるのかという話から、また次回。
なお、ここでは『them』をグーグル先生に倣って「彼ら」と訳しておいたが、これは便宜上のことであって、『them』に彼や彼女といった性別もなければ、我々が親しみ始めているヒカルのInstagramの『she/they』表記にみるノンバイナリ的な用法を顧みれば複数形でもないかもしれない。それどころか人間でもなく「それら」、物事や経験や概念といったものなのかもしれない。ここでは、「I(私)やyou(あなた)ではない存在」という程度の意味で「彼ら」と当てている、ということで。もっと性別の匂いがしない用語があればいいんだけどね。…なんかない?(笑)