さて、あれもこれもと歌詞の話題を乱雑に取り上げていると何が何だかわからなくなってくるのだが、もうここまで来たら折角なので逆にどんどん色々とつまみ食いをしていってしまおうかなと。あれもこれも手を出して何が悪い?と開き直ったです。
という訳で、ぼちぼちではあるが例の『About Me』の新訳にも触れていきたいかなって。『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios』(いつもLSAS2022と略して書いているのでたまにはフルネーム?でね)をNetflixで日本語字幕にして観たときに流れる『About Me -Live Version-』の、ヒカル本人による新しい日本語訳のことだ。
そもそも、なぜこの歌を改めて訳そうと思ったのか。もっといえば、数多の楽曲がある中で、『BADモード』収録曲に混じって何故この歌を歌おうと思ったのか。ヒカルは今のところ語っていない。そこらへんの妄想についても語りたい(そこまで行くかなぁ?)。さて。
2004年発売のUTADA名義での1stアルバム『EXODUS』収録のこの『About Me』は、ヒカルがギターで作った数少ない楽曲のうちの一つで、かなりフォーク・ソング的なテイストの濃い歌である。
後にテレビで共演するさだまさしの代表曲に「関白宣言」という歌がある。「お前を嫁に貰う前に言っておきたい事がある」という歌い出しで始まる、要は結婚を目前にした彼氏が彼女に今後の心構えを時にユーモラスに時に真剣に訴えるという、フルコーラスだと6分20秒にもわたる1曲だ。
UTADAの『About Me』は発売当時、このさだまさしの「関白宣言」になぞらえて「宇多田版・関白宣言」或いは「逆・関白宣言」と呼ばれていた。多分言い出したのはもりあてさん(@Moreatee)だったかと思うが違ってたらごめんなさい。なぜそう呼ばれたかといえば、この歌の歌い出しが、
『My baby, there's something you should know
About me, before you propose』
即ち
「ベイビー、あなたが私にプロポーズする前に
知ってて貰いたい事がある」
という「関白宣言」そっくりな歌詞を、彼氏側からではなく彼女側から歌う歌になっていたからだ。(↑の訳は取り敢えず私による) それで「逆・関白宣言」だね。
時系列を整理しておくと。ヒカルが1回目の結婚をしたのが2002年9月で、この『About Me』を含む『EXODUS』が日本先行リリースされたのが2004年9月であった。つまりちょうど2年後。もう新婚さんとは呼べないかなどうなのかなという時期だったわね。そこで、英語で、恐らくフォークギターを弾き語りするイメージで(LSAS2022では弾いてませんでしたね…)切々と歌うこの歌を発表したのは、正直言って意図がよく分かりませんでしたね。そして、なぜそんな特殊な歌を2021年になってわざわざ歌ったのか。そこらへん、訳詞をみながら考えていきたいかなと思ってます。最近、朝晩はすっかり秋めいてきたわねぇ。日中はまだまだ暑いけども。