『トークの内容はちゃんと考えておいたし』
『楽曲もギリギリまでアレンジつめて』
『カバー曲もお正月からめちゃ練習して』
https://twilog.org/utadahikaru/date-230125/asc
準備万端で臨んだ、という訳ですかい。まーだよね、
40歳の誕生日にお送りする
10年周期の例のゆるーい
スペシャルプログラム笑』
https://www.utadahikaru.jp/40iroiro/
だなんて触れ込みの企画なので、どうしたって届ける方もゆるいもんだと思われがちだからな、こうやってアピールしとく必要はあるかと思う。特にバッドバニーのカバー「Me Porto Bonito」は、恐らくまだスペイン語を完全には解せないからこそ、徹底的に叩き込む必要があったかと思われる。間違えたら誤魔化しようがない。いやこっちは間違えられても気付けないけど。なんかそれ悔しいな。
で。
①First Love (新アレンジ)
②Rule (デモのイタリア語と英語を混ぜた新アレンジの「君に夢中」)
③卯年なのでBad BunnyのMe Porto Bonito (突然スペイン語に挑戦)
https://twilog.org/utadahikaru/date-230125/asc
という3曲は、狙いがハッキリした選曲だったのよね。佐藤健をゲストに迎えたのだから彼が主演した「First Love 初恋」の主題歌『First Love』を、吉高由里子をゲストに迎えたのだから彼女が主演した「最愛」の主題歌『君に夢中』の新バージョンを、そして卯年だからバッドバニーのカバーを、とそれぞれ意図が三者三様明確だった。
正直、3曲とも面食らいっぱなしだったのよ私リアルタイムで聴いてるとき。バッドバニーは予想の範疇外どころか積極的に無視してたヤツだし、まさか『君に夢中』の歌詞がイタリア語を含んでいたとは夢にも思っていなかったし。しかし実際にいちばん吃驚したのは
『①First Love (新アレンジ)』
なんですよ! というのも、この『First Love』という曲、1999年4月の『LUV LIVE』から2018年の『Laughter in the Dark Tour 2018』に到るまで、ライブでは悉く「スタジオ・バージョンに忠実に」演奏され歌われてきた楽曲なのである。それは、異様な編成の『MTV Unplugged 2001』でも日本語曲が主役ではない『Utada In The Flesh 2010』でも大体同様だった。キーが下がっていたりすることはあったようだが。(私それ気にしてないので気づいてない)
このような方針で来たのも、この曲が最も広範に「ヒカルが歌うのを期待されている楽曲」で来たからだ。有名であればあるほど、人は「ラジオやCDで聴いていた曲を生で聴けること」に重きを置く。早い話がそのまんまを聴きに来るのだ。ライブ慣れした人間はついつい「せっかくの生演奏なんだしこの場でしか聴けない音を聴きたい」だなんて嘯いてしまうものだが、宇多田ヒカルという大衆に膾炙した歌手への期待の大多数は「あの曲を目の前で」なのである。
ヒカルはその期待にずっと応え続けてきた。そして昨年末のリバイバル・ヒットを経てますますこれからのライブでも「あの曲を目の前で」と思われていく運命にあるのがこの『First Love』な筈なのに、新年早々40歳になった途端、まるで今まで聴いたこともないサウンドの『First Love』を聴かせてくれたのだ。吃驚仰天青天霹靂であった。
だが、よくよく考えてみれば、リバイバル・ヒットを成したこのタイミングだからこそ新しいサウンドの『First Love』を提示できたのかもしれない。寧ろ、ここを逃す手は無かったとも言える。ある意味、「一区切りついた」この間隙を突いてきたのだ。これからこの曲がどんどん改変されてライブで披露される可能性もあるのか? 勿論、「あの曲を目の前で」筆頭なのは変わりないので、皆の反応を見ながらになるかとは思うが。この曲への自信と、この曲に頼らなくても満足させられる自信と、その両方を感じさせる新鮮なニュー・アレンジだったぜ。今年のヒカルはきっと、とんでもなく攻めまくるぞ?