無意識日記々

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あんたがゴールド

宇多田ヒカル2023年新曲第1弾(2弾目以降もきっとある!)、『Gold ~また逢う日まで~』がリリースされた。待ちに待ち望んだフルコーラスにやっと邂逅し、目が点になって朝を迎える。

なんちゅう曲作ってるんやろうね。どこからツッコんでいいか迷いに迷う4分14秒。一聴後このランニング・タイムを目にしてまた目が点になったわ。これだけの旅を味わわせておいてそんだけしか経ってないの!? わけがわからないよ。

ここまで散々、「このまま裏の裏をかいてシンプルなピアノバラードだったりして」と「でもやっぱり奇天烈な展開が待ち受けてるのかなA.G.Cookとだし」の2つの間で揺れ動いてきたが、なるほど後者でしたね。それも、全くこちらの予想通りに……と言っても「事前には全く予想の出来なかった曲展開になっているだろう」という予想の通りに、ではありますが。

今夜コレが映画のエンディングを飾るのを目にするという事実にまた目が点になる。初めて聴く人はどれだけ油断をしているだろう。なるほど、確かに「最初のワンコーラス」をトレイラーに使ったのは正解だわ。もうあれからして奇天烈な曲展開に驚いて楽しんで貰う為の「フリ」だったのね。

そういう意味では、周囲がヒカルの奇抜さに慣れてきたというか、それを前提にして話が進んで作られている感も出てきているのかも。今回は初っ端からドルビーアトモスでの配信があったのだが、ミックスのみならず編曲時点からアトモスフェリックな視座が感じられていて、A.G.Cookであれ誰であれ、周囲のスタッフがサウンド・メイキング時点でヒカルの独創性と空間的な編曲術を新しい技術で活かそうという意図を持っていたように見受けられる。

そしてプロモーションも、タイアップ相手及びレコード会社双方「フルコーラス初邂逅のインパクトを演出しよう」という意図の元でこの数週間動いてきたんだろうな。お陰様で寝て起きた今でも目が点のままです本当にどうもありがとう。

ただ、どうしても奇抜さにばかり耳が行くが、なんだかんだで最初から公開されている部分の持ってる魅力をそのままキープして展開させているので、楽曲としての一貫性にブレはない。ハッシュタグを辿ると早速「これは移調や転調ではない」旨を指摘する呟きに辿り着くが、用語用法の是非はそれとしてこれらは重要な点だろう。奇を衒ったというよりは、歌詞のテーマに沿った順当な内容ではあるのだ。事前にそれを予想するのは全く不可能であるとはいえ、一度以上聴いた後なら徐々に合点がいくかなと思う。

なので、「こんなことになってたの!?」という驚きはありつつも「何が何だかわからない」ということまではあんまりなかった。「こんな曲を作れる頭脳だなんて何が何だかわからない」とは思うけれども、曲の持つメッセージは明解だ。そこらへんは追々触れていこう。

『プラチナもダイヤモンドも

 アンドロメダも勝負にならぬ』

それにしてもこの歌詞な。今後再生回数でRIAJに「ゴールド認定」(5000万回再生)されるとこまではそのものの曲名と歌詞に擬えて素直に称賛していけるけど、そこから先、「プラチナ認定」(1億回再生)や「ダイヤモンド認定」(5億回再生)に辿り着いた時に気まずくならないんでしょーかね? 「こんな奇天烈な曲がそんなに再生されることなんてないってば!」って意味だとしたらちょっと笑みを浮かべてしまうわさ。さてどこまで人気が出るですかな?