無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

Whose Time is this ?

ここ3年位で百合漫画専門誌(コミック百合姫ね)で「そもそも同性愛が特別視されない世界線」のエピソードが格段に増えている。一昔前までの百合漫画といえば「同性と恋愛する(社会的な)葛藤」をまず描く作品が多かった(今でも沢山ある)のだが、そういうのいいからという事すら触れずに始まる物語がこうやって目についてきた背景には、現実世界でのLGBTQへの甚だしい(がまだ不十分な)認知度向上があるのだろう。

ヒカルも、ラジオの特番で同性愛についてサラッと流した(触れる気すら無かった)のが当時評価されていた。あれから二年経ち、今やその評価すらわざわざする必要も無いという空気になりつつある……のかな。界隈次第か。

となると、恐らく今後はヒカルが書く歌詞にも影響が出てくるだろう……と思いそうになったが、これが存外そうでもなさそうでな。『Prisoner Of Love』を提供した12年前のテレビドラマ「ラスト・フレンズ」は同性愛と捉えられる状況を非常に重く描いていた印象を持たされたが、当の『Prisoner Of Love』の方はというと、ドラマとの相乗効果が大きかったので誤解されがちだが、特に性別関係ない歌詞なのである。最近曲である『Time』と『誰にも言わない』についても、それぞれが「道ならぬ関係」だというだけで、性別は特に強調されていない。カレシやboyが出てくるが、こちら側が男性でも全く問題なく歌詞は通じる。ただ私がいつもどの曲についても積極的に百合認定発言を繰り返しているだけなのだ。勝手な妄想である。

勿論、その時々でヒカルは「こう受け取られるだろう」という意図・予想を持っているだろう。ある意味で印象誘導もあるかもしれない。しかし、こうやって急激に世界の恋愛告白事情が急変している中でも大して古びない歌詞を書いているのは流石だ。(PHSBlackBerry、MP3なんかの小道具は時代を感じさせるが、それが評価を下げる理由になることもない。) ここらへん、未来を見通しているというよりも、本質的なポイントを見極めて描写をしているという事なのだろう。ヒカルの持ち込む恋愛観は非常に理論的で、それが纏められたのが『初恋』だった訳だが、はてさて次のアルバムではどこまで踏み込むのやら。現代においてタブーとされている領域まで敢えて行くんじゃないかと戦々恐々としているよ。お母さん頑張ってよ。