無意識日記々

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It's called ... 『『Gold.』』

GoldEPラストに収録されている『Gold ~また逢う日まで~ (Taku's Twice Upon a Time Remix) (ALT intro)』は…って長いタイトルだな! もしや宇多田公式史上最大文字数になるんだろうか…って、直前のインストの方が長いわね(笑)。それはさておき、同トラックはつまり、イントロのヒカル電話がないのね。

長年のファンだと─って昨今はストリーミングですぐに過去のアルバムを聴けるからあんま関係ないのかな、昔はベテランアーティストの過去のレコードやCDを漁るのには結構労力が要ったんだよ─、ヒカルの電話ときけば1stアルバム10曲目『Interlude』に留守電メッセージが収録されていた事を想起するだろう。そこらへんも意識してたのかな、と最初は思ったのだけどヒカルとTakuさんのラジオでの遣り取りを聴く分にはそうでもなかったのかな? わかんないけど、意図は兎も角、そういう効果があったのは間違いがないところ。

そしてこのヒカルの電話のハイライトは、最後に喋りのセリフの『Gold』と歌のパンチラインである『Gold』が重なるとこだよね。あそこで一気に曲の中に引き込まれる。もうこの時点でこのトラックの魅力は十全に伝わる。

しかし、この流れって、意図がよく伝わる為にはオリジナルの『Gold~』でそのパンチラインが要所で使われている事をリスナーがリミックスを聴く前に知っておく必要があって。つまりTakuさんはこのリミックスを「既にオリジナルに慣れ親しんでいる人に向けて作った」のだという、極々極々当たり前の事を再確認する結果となった。

この点って結構重要でね。リスナーの「心積もり」をどう自然に誘うかって大事で。このリミックスが「オリジナルではこうだったからリミックスではこう行くよ」といった、元々のトラックを想定した上で聴いて貰うものなのか、それとも、オリジナルのサウンドを単なる素材と見立ててこちらのアーティスト・シップを主軸にして再構築した新しいトラックになるのか、それを早い段階で汲んで貰えた方が素直にこのトラックを楽しめる訳なので、そこをこうやってお洒落にサラリと組み込んでくれるのは、なんとも粋というか大人のミュージシャンだなぁと感服した次第でありまして。

勿論オリジナルを知らなくても、タイトルの『Gold』の一声で歌に入っていく、という構成自体はすぐに理解できるので…という点を、その5曲目の『~(ALT intro)』のバージョンは電話パートを消すことでよりわかりやすく伝えてくれている。その意味では、オリジナルを知らない人たちに向けてリミックスを流すような場合(海外とか、何年後とか、熱心なヒカルファンの居ないとこでね)は、こちらのALT introの方を掛けた方がいいケースも結構出てくるかもしれないね。なお、ALTはパソコンのキーボードのキーにもある"Alternative"の略で意味は「もう一つの選択肢」、代替ってことで…いいんだよね?(違ってたりして)

ということでTakuさんは、このリミックスのリスナーとして、宇多田ヒカルの1stアルバムも最新曲も既に聴いている熱心なファンを想定して制作したのだなという事を、サウンドの中に然り気無く鏤めてトラック制作したということでわからせてくれてる…ような気がする。ミュージシャンはこういうとこでも会話と対話を成立させるのだとしたら、凄いよねぇ。