TCY Radioで耳を引いた発言のひとつがこちら。
「☆Taku:リミックスって結構、依頼から納品まで特にやり取りなく完成することが多いんだけど、今回は途中で聴いてもらって、どう感じたかとか、「もうちょっと、こういうアイデアはどうですか?」っていうキャッチボールができたのが僕はすごく楽しくて。最後の最後まで、いろいろと試せたのがめちゃくちゃ楽しかったですね。」
https://block.fm/news/utada_taku_talk
こりゃ珍しい。リミックスといえば本来原曲アーティストによって既に録音された素材(とリミキサー自身で用意した素材)を元にしてミックスを行うことを指すのだが、今回のTaku's Remixは冒頭の電話メッセージをはじめとして原曲アーティストであるヒカルからの新たな素材提供があり、制作過程でも本人からのアドバイスが入るという、初めてではないかもしれないがかなり異例な対応が取られた訳だねぇ。
リミックスがシングル曲のリードトラックなのって宇多田ヒカル名義だと
『Eternally - Drama Mix -』
『Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-』
『光 -Ray Of Hope MIX-』
『Too Proud (L1 Remix)』
『Gold ~また逢う日まで~ (Taku’s Twice Upon a Time Remix)』
この5曲でいいのかな? その中で最もヒカルが深く関わったのがこの今回のTaku's Remixということになりそうだ。
なるほど、それならこのトラックが妙に自信に満ち溢れているというか、結構遠慮なく展開させてる理由もよくわかる。そのくせ歌詞の肝心な所は外さずにアレンジされていて巧いもんだなと思ってたけどヒカルの助言があったのね。
例えば英語歌詞の対訳なんかもそうだけど、間を取り持つ役割の人は原作者をリスペクトする余り大胆な改変などには慎重になるものだ。他方、原作者本人の場合自分の作品なだけに遠慮が無い。対訳でもヒカル自身が「これは移植は難しいな」と思ったファクターなどは遠慮なくバッサリ切り捨てたりしている。
同じ事がリミックスでも言える。少々大胆な試みでも「原作者のお墨付き」があれば遠慮なく実行できる。このトラックがやたら勢いがあるのは、「リスペクトの枷から解放されているから」なのだろう。寧ろ、ヒカルの方が、
「☆Taku:「ちょっと遊びで作ってみたから、好きなのを使ってください」って、何パターンも作ってくれていて、リミキサーに対して超リスペクトしてくれているのを感じた。アートの表現をすごく大事にしてくれている中で、「もしよかったら…」って送られてきたのが留守電の声で。「めっちゃ面白いじゃん。電話が来ているみたいで最高!」って。それでそのまま、あのイントロになったんです。」
https://block.fm/news/utada_taku_talk
とTakuさんが仰ってるように、リミキサーへのリスペクトを前面に押し出すまでになっている。ここまでされれば、如何にTakuさんがこの道の大御所であっても、いつもより大きな自信をもって事に当たれたのは想像に難くない。ヒカルからのリスペクトは何よりの力になったことだろう。今後もこんなリミックスが増えると楽しいだろうね。