無意識日記々

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〔定期提起ネタ〕ファンの資格と参画

宇多田ヒカルにはファンクラブがないし、これからもなさそうだし、過去にあった事もないのだけど、それでも何故か定期的に「ファンの資格」なる概念について話題が上がる。結論はシンプル&クリーンなんだけどねぇ。「そんなものは無い」。以上。

ただ、恐らくその話題を出す方は「他の界隈」が目に入るのだろう。『Fantôme』以降は「兼ねファン」「兼ヲタ」を自認なさっている向きも多く、特に椎名林檎に関しては「どっちか好きなら両方好きだよね?」と言わんばかりの空気すら時折感じる。そういった他のアーティストについては確かにファンクラブが存在するので、そこに所属しているか否かで何かあるのかもしれない。が、宇多田ヒカルにはそんなものはない。(2回目) 気にする必要は全く無いのだ。

ヒカルの本音としては、寧ろ「宇多田ヒカルファン」という存在は特段望ましいものではない。常々、「私だからというのではなく、曲毎に判断して欲しい」という趣旨の事をヒカルは繰り返し述べてきている。作曲家としては、どこの誰にどの曲が気に入られるかというのが知りたい話であって、私のことが好きかどうかというのは全く別の話になるのだろう。ただ、ここらへんの意識も少し変わってきただろうことは、「MUSICA」での『自分らしくしているのが仕事みたいなこと』といった発言からも窺えるのだがここではそれはさておくとして。

そして実際、「宇多田ヒカルの固定ファン」というのは、市場でも大して存在感がないのだ。所謂「宇多田ヒカルの公式リリースは中身の如何に関わらず取り敢えず購入する」というガチヲタは、この20年、多少の変動はあれど大体1万人前後で推移している(と私はずっと主張してきている)。レコード会社としては「とりあえず買ってくれる」と安心できるロットは10000程度しかないのだ。宇多田ヒカル知名度を考えると意外と思う人も在るかもしれないが、実際あれとかこれとかの売上の実数は…(いろいろあるので自重する)。ということで、レコード会社に対して大した安心感を提供出来ていないため発言力みたいなものは皆無なので、固定ファンの有難味というのも他のアーティストに較べたら相対的に薄い。いや勿論、梶さんをはじめとしたA&Rの皆さんが気に掛けてくれているのは常々感じてますけどね! それとは別の話って事で!

ということで、

・そもそもファンクラブがない&これからもなさそう

・固定ファンは特に偉くない

の2点を考えると、「ファンの資格」なんてどこにもないし、もしあったとしても自慢できるようなものではないのですよこの界隈では─というのが、実際の所なのではないかなと。

もしヒカルの意を汲みたいというのなら、「今回の新曲はつまらなかった」とか、そういう素直に思ったことをハッキリと伝えて上げて欲しい。ある意味、信者的なファンは歓迎されないとすら言え…いやそれは言い過ぎにしても、まぁあれだ、特に偉くはないので、資格について考える必要はどこにもない。他のアーティストの界隈とは全く異世界だと認識して欲しい。ファン歴の長さとかグッズの所持率とかでは全然マウントはとれないのだ。そもそもマウントを取ろうとする事自体が嫌がられる界隈だしな。うん。

そうそう、前回あたしも「読者の事前知識の推定」に力を入れてる旨を書いたけど、それは即ち、宇多田ヒカルの何かを知らない事について何の評価もする予定が無いという意味だ。私が知りたいのは、あなたが何を知ってて何を知らないかということであって、そこに価値判断は挟まらない。「知らないなら説明を書こう」とか「知ってるならいきなり本題に入ろう」とかの参考にしたいだけので、「宇多田ファンとしてこんなことも知らないのはまずいんじゃないか?」とか気を遣う必要は全く無い。そこらへんは正直に伝えてくれればそれがいちばんいい。

寧ろ、例えばそうだな、「ファンならみんな『Automatic』好きなのかなぁ? おれはそうじゃないんだけど、なんだか言いづらい雰囲気だなぁ…」とかそんな事を感じたときには是非教えて欲しいものである。ヒカルが何より「正直な曲の感想を教えて欲しい」と願っているのに、私たちがそれを言い出しづらい雰囲気を作っているとしたら即刻改善されなければならない、と私は考える。勿論、そういうことを伝えるのはストレスになる場合もあるので、無理強いは全くしない。ストレス解消になりそうだったら遠慮なく言ってくれればいい。ここでも、ファンの資格とか知識の有無、嗜好の違いなどは全く問題にならない。そこが自由に発言できる、ひとりひとりの宇多田ヒカルに対するそれぞれの愛し方が受容される空間こそが、私たちが希望するものだ。「10年離れてたけど今度の曲は気に入ったからちょっと顔を出してみた」とか、こっちは嬉しくて仕方がないパターンなのですよ。ブランクがあったのなら、その間何してたのかとかも興味あるしな(笑)。

なおさっきから私は「私たち」って言ってるけど、特に誰も想定していない。「私と同じ意見の人が読者の中にもいるだろうから、その人が〔私たち〕の構成員になるなー。」という程度のことだ。当然、「いや私はそうは思わない」と言ってくれる人もまた大切な読者さんなのでありますよ。

てなわけで、25周年イヤーを前に「また新しい世代のファン(年齢は問わない)が増えてくるだろう」ということでこんな話を書いているのだけど、例の「#あなたの宇多田ヒカルはどこから?」ハッシュタグが再始動したみたいで。いいタイミングだねぇ。次回か来週にでも触れられればなと、思います。