無意識日記々

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我が娘を慈しむような歌


しまったな、ついつい「フラゲ日にフラグ」というダジャレに引っ張られて今夜するはずの話を先に朝にしてしまった。今朝は昨夜の話をしようと思ってたのに。つくづく、ダジャレに弱い。



気を取り直して。順序が前後してしまったが昨夜の感想を。CDTV LIVE LIVEに出演して『First Love』を歌った。Mステ以来なら25年ぶりだろうになぜ煽りが24年ぶり?と思ってたが、そうか、2000年3月のゴールドディスク大賞があったのか。あんときの髪形も好きだったな…確かにあれ以来なら24年ぶりだわね。すっかり見落としてたわ。


で昨夜は過去3回のCDTV LIVE LIVEへの出演とは異なりトークはなし。煽りVTRからほぼ直接歌に入った。私はちょっと自分の趣味に合わないなと思ったな。ヒカルからの申し出だったかとは思うが、トークがない方が歌のパフォーマンスのスペシャル感が増すからね。私の中では『君に夢中』も『Gold 〜また逢う日まで〜』も『何色でもない花』も『First Love』もスペシャル度ではそんなに差がないからさ。でもテレビでの披露なのだからそこは視聴者の総意に合わせるものなので我慢しておくわ。実際、今回のTwitterでのバズり具合は前3曲の比ではなかったからね。


で、歌の方は、順当だった。なんというかいつも通りに、今のヒカルが素直に『First Love』を歌ったというだけの…ってテンションで書くと前述の「視聴者の総意」から随分離れるけど!これが実感なのよ!だってこちとら年がら年中宇多田ヒカルUTADAのライブDVDetc.観て(いや“聴いて”の方が多いかも?)過ごしてるんだから!どれ観ても聴いても必ず『First Love』入ってるんだもんよ! だからあらゆる年代の『First Love』が頭の中にズラーっと並んでるのよ。その最後列(いやこれは最前列か?)に昨夜のパフォーマンスが付け加わった、というのが嘘偽らざる実感なのですよ。場所がテレビでもステージでもスタジオでもあんま関係ない、という態度であたしがいつも鑑賞してる、ってのが前提にあるのは踏まえとかなきゃいけないかもしれないけども。


そんな中で、昨年初頭の『40代はイケイケ!』のバージョンは画期的というか、いよいよ『First Love』を大胆に崩しに掛かるのか!?という予兆かと思ったわけだ。んで昨夜はそこまでの冒険せずに2022 Mixに準じたバックトラックと歌唱を聞かせてくれたので、「あ、順当に来たな」と感じたと、そういうわけなのですよ。その前にはコーチェラもあったしな。特に不意を突かれたという事でもなく。


そんななので、テレビから何度も聞かれる「24年ぶり」だなんてのは全く共感できるものではなく。いや言いたいことは勿論わかるんだけど、『First Love』は最も「日常的によく聴く曲」のひとつなので、久しぶりとかそういうの全然無いのよ。そういうとこでは確かにテンションに差はあった。


だがそれはそれとして踏まえた上で言えば、いやぁ、素晴らしいパフォーマンスだったね。41歳のヒカルならではの『First Love』を見事に表現し切っていたように思えた。10代の頃の歌は「背伸び」、20代の頃の歌は「等身大」だったけど、今回は最早、過去の自分をまるで自分の娘であるかのように優しく懐いて包み込んで歌っていたように思った。だって作って歌った当時って15歳前後ですよ? 自分自身とはいえ、26歳年下の女の子。最早ダヌくんの方がずっと歳が近いんですわ。もし彼に少し歳の離れたお姉ちゃんが居たら…みたいな妄想が落ち着く年齢なんですよ15歳ってのは。


ヒカルは、人間活動期を含めて、常に絶え間なく変化と成長を遂げているので、その分15歳の頃というのはそれなりの距離感があるはず。そうしてその中でやっぱり月日が経っても年をとっても変わらない核があって、そこの不変ぶりを今の自分とも共鳴させつつ、当時の新鮮さや不安や葛藤などを…そうね、「それでいいんだよ」って認めて赦すような、そんな目線を感じながら歌を聴いてましたわ。あと「やるじゃんこいつ15の小娘にしては」感も…それは先入観かな? まぁいいや。


で、そんな感じだったので、歌う雰囲気に少し『嵐の女神』に通ずるものがあったと思ったよ。


『私を迎えに行こう』


今回のヒカルの『First Love』は、41歳のヒカルが15歳のヒカルを優しく暖かく出迎えて抱き寄せたような、そんなバージョンでしたね。毎度ながら泣かせる歌声だったのとも変わらず。そしてまたひとつ、長く分厚い『First Love』の歴史に、新たなページが加わりましたと、そういう具合でしたとさ。またすぐこの夏に新しい『First Love』を、今度は生で、みんなで聴ける事を、祈ってますよ。