無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

最初からあったプロデューサー目線


前回引用した三宅彰プロデューサーによる14歳のヒカルの発言、


『じゃあ今からダブル録りたいと思うんで、でダブルはちょっと軽く薄く歌うんで、ミックスで6:4で混ぜて貰えますか?』


の一言は、短いながらも様々な事を教えてくれる。この時点で既にレコーディングミックスの知識があったことがまずそうなんだけど、ヴォーカリストは「今からダブル録音するから軽め薄めに歌ってみて」と指示を出される事はあっても、自分でそれを思いついてやってみようとは言い出さない。つまり、ヒカルは14歳にしてプロデューサー(/ミキサー)としての自覚が既にあったということだ。実際にクレジットに反映されるのはもう少し先になるが。


その上で、自分で軽く薄く歌うと言っているのは、14歳にしてダブルでの歌い分けをどうすればいいかを知っていると共に、実際に歌い分けられる歌唱技術を既に持っていたという意味でもある。プロデューサーとしての目線と、ヴォーカリストとしての歌唱技術。何歳であってもこの両方を持ってる人は片方のみの人よりぐっと少ない。それが14歳で女子でしかもかわいいとなると、そりゃ他に居ないわな。


この、違った視点で物事をみることについては、ヒカルの最新インタビューでも触れてるわよね。「自分を客観的に観察することで初めて自分がわかる。」って。この客観性は、大人になる過程で育んだというよりかは、かなり元々ヒカルが性格的に携えていたものだったのだろう。まぁね、既に14歳の時点でCubic U のフルアルバム一枚制作してるんだし、それ以前にも、U3でレコーディング経験がある。そして本人も言うように、レコーディング・スタジオで宿題してたとかお家みたいな感覚もあった。



ああ、ダブルといえばSACRéを筆頭としてRe-Recordingでのメイン・ヴォーカルとバックコーラスのそれぞれの重ね方(重ねたり重ねなかったり)が見事なのだが、あれ?あたしのその話してなかったっけ?? 書いた気がするんだが見当たらないな。また次までに探しておきますか。もし見当たらなければ新しく書き下すまでだ。


今回のこの三宅さんのセリフで、宇多田ヒカルのバックコーラスの録音についての認識をやや修正する必要があるかもしれない。てっきり三宅さんの「もう一回」攻撃に代表されるように、周りからコーラスを分厚くしようと提案されてきたのかと思いきや、ヒカル自身が声を重ねる事に最初からノリノリだったのね。そんなノリノリな人でも真夜中にブチ切れて飛び出すほどテイクを重ねたって、三宅さんホント10代のヒカルに何回繰り返し歌わせてたんだよ…。