無意識日記々

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関ジャム 完全燃SHOW 宇多田ヒカル特集

昨夜の「関ジャム 完全燃SHOW」は色々と参考になった。これだけ毎日書いててもまだまだ全然触れてない事があるんだなぁと。

例えば『誓い』のコード進行の話とかヒカルの使ってるマイクとか、そんな話もしたことない。こんだけ書いてても穴はあるわ。

その中でも取り分け驚いたのが小森くん師匠の一言。レコーディング当日まで作詞が出来てなかったりしますか的な話題で

「2つ録ってみて聴き較べてみる」

という話が出て来た。うげげげげ。これ書いてないどころかあたし全くこのアイデア思いついてなかった! 散々作詞がギリギリになってレコーディングが大変になってるだろう事をイジってきたというのに、向こうは違ったアプローチで作詞とその録音を捉えていたと。

しかし、当然ながら合理的。特にバックの演奏をヒカルのデモから人力に変えた場合などは、幾ら楽譜上は同じでもトラックとしては印象が違うだろうから。でなくばわざわざ人呼んでレコーディングなんてしないからね。今の合成音は物凄くレベル高いし。そういったバックトラックに載せてみた時の歌詞の映え方の変化を考えれば、アイデアが一つに決まらない場合、一度歌ってみて聴き較べてみるなんてのは自然に思いつくことか。

逆に、ヒカルがデモで歌ったテイクが既に素晴らしくてそれがそのまま本テイクとして採用されるケースもあると。これで有名なのは『Never Let Go』か。三宅さんがヒカルに会ってCubic Uを聴いて「日本語でも書いてみたら?」と提案して最初に作ってきた14歳頃の日本語曲1曲目からして、既にデモのテイクが本採用になっている。もう最初の最初っからヒカルは自分ひとりでクォリティーの高いトラックを用意するスキルがあったのだ。

その先入観が私にあったのかもしれない。そこまで仕上げてきてから人に聴かせるヒカルが、スタジオに入ってから複数の候補を録音して聴き較べてみてそこから歌詞を決めていくなんてこと、デモが本採用になることと対局過ぎるからね。

んー、でももしかして、これ、昔インタビューで答えたことある?? 小森くん師匠と仕事をしているというのは2007年から言っていた気がするので(彼がBunkamuraのアシスタントエンジニアだった頃だ)、それ以降の楽曲になるだろうが、果たして録音まで歌詞が決まらなかったのはどの曲なのか、そして、もうひとつの歌詞は一体どんなだったのか、興味は尽きない。メッセで紹介された『Passion』の没歌詞や『First Love』15周年記念盤に掲載された赤裸々な制作ノートやデモ音源など、完成前の姿を知るのはいつもドキドキする。またいつかそういう“日の目を見なかった”アイデア達の姿にお目にかかれる日が来ることを願っていますよ。