嗚呼、そういや「SFセットリスト全体の構成の話」をしとらんわ。しとこ。
そもそもの私の予想は
「アルバム『SCIENCE FICTION』の曲を軸にして2〜3曲サプライズを仕込んでくる」
というものだった。
結果、大ハズレでありましたとさ。
いやねぇ、チケットの売り方からしても、ベストアルバム発売直後というタイミングからしても、今回は「初心者向け」で来るだろうと踏んでいたのですよ。宇多田ヒカル初心者のみならず、ライブ・コンサート自体が初心者な皆さんにも向けての公演になるだろうと。そういう人たちがまず喜ぶのって
「知ってる曲の本物が観れた!」
なんですよ。「知らない名曲に新しく出会えて嬉しい」とか宣う人って、フェス慣れしてるとかそんな人種でさ。宇多田ヒカル観に来る中ではきっと少数派…というか、今回のチケットの売り方だと少数派にならざるを得ないと言いますか。なので、兎に角有名な曲を順番に頭から歌っていくのがいいだろうなと思ってたのよ。
それが蓋を開けてみたらオープニングが『time will tell』ですよ。まさかベスト盤に入ってない曲から始めるなんて夢にも思わなくて! 私自身はよくよく知ってる曲な上予想してなかったから大変びっくりだったし演奏もグルーヴィかつダンサブルでしたので大変喜んで楽しみまくっちゃいましたが、それを大きく踏まえた上で言わせて貰えれば、
これ大失敗だったんじゃない?どう?
初心者は知らないですよ『Automatic』シングル盤のカップリング曲なんて。ホントは両A面扱いなんだけど、それが言えるのはアナログレコードやカセットテープのように物理的に両面が対称になってる場合であって片面にしか収録できないCDではどうしたって“優劣”がついちゃうのさ! 実際、あのシングル盤は『Automatic』が入ってるCDというこおで国民的な認知を得ているので、我々の『time will tell』に対する「大切なデビュー曲両翼のうちの片翼」という認識は、コンサート会場ではやはり少数派のものでしかなかったのではないかと思われます。
実際、どうだったのかなぁ? 私は上記のように自分のテンションが上がっちゃったんで、周りが視えていたかというと心許ない。そろそろあと3週間くらいでU-NEXTでSF解禁なんで、そこでこの一曲目での盛り上がり具合を確認したい所なんだわさ。
たとえ盛り上がってなかったとしてもそれが意図的なものだったのなら、まぁいいんだけど。直近のベスト盤に入っておらず、特に最近リバイバルヒットしたわけでもない25年半前の楽曲を6年ぶりのコンサートの一曲目に持ってくる事で、まずコアなファンやベテラン陣を盛り上げる、と。初心者は最初どうすりゃいいかわからないだろうから少しずつ慣れていってくれればいい。いきなりAutomatic やFirst Loveを歌って何が何だかわからないうちに終わってしまうよりは、ある程度リラックスした状態で「聴きに来た名曲」に触れてもらった方がいい、そんな判断だったのかもしれない。その可能性はあるわな。会場全体でいえば、スロースタートでOKですよってことでね。
でもその割には、最初の15曲を人間活動期前の楽曲で固めたりしてたし、うーむ、判断がつかないところ。いや勿論、コアファンやベテラン勢大歓喜なのでそこは大正解・大成功なんだけど、だとしたらチケットの売り方がさ…あ、そこの解釈がまずいのか私? もしかして徹頭徹尾、
「チケットの売られ方は宇多田公式としても大変不本意だった」
という解釈で行った方がよいのだろうか? そこまで思い切っていいのかな。だとしたら、一曲目が『time will tell』だったのは、25周年記念ツアーのオープニングとしては最高にグレートだったよね。そしてアンコールラストが『Automatic』だったんだもの。最初と最後にデビューシングルの両翼を配する、なんとも美しい構成。それだけなら文句無しだもんね。
流石に初心者さんはこの日記読みに来てないだろうからリアクションは期待できないかもだけど、もしかしたら連れに「宇多田ヒカルの名前は知ってるけど曲はよく知らない」程度の人を同伴した方はいらっしゃるかもしれないので、そんな人の話が聞けたら嬉しいわね。いやでも「あの一曲目で置いてきぼり喰らわなかった?」って訊きづらいか(笑)。なら何年か経ってから、その時にはもう初心者じゃなくなった「2024年には初心者だった人」に訊いてみますかね。…展望が遠大だな! そりゃ私は既に50周年を見据えてますんでね!