無意識日記々

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歌詞の内容を要約してみるテスト

歌の歌詞、一曲でだいたい何文字位だろう。おおよその勘だが、3〜5分の曲で500〜1000文字程度だろうか。今の本欄の文字数だと7分位の曲になりそうな気がする。

"このサイズの日本語で何がいえるか"というのは、少しばかり興味のある問題である。日本語においては短い方は俳句の17文字、更にはキャッチコピーなら3文字とかでもOKだ。ここから短歌、連歌定型詩となるに従い文字数は増えていく。掌編小説となると短いのは数行という感じになるが、取り敢えず800文字以上が目安な気がする。根拠はない。なんとなく。

この、短めの定型詩と掌編小説のちょうど間くらいの、いわば中途半端な長さがポップソングの"尺"なのである。この程度で人間が何をいえるかというと、例えばプログラミングだと、テトリスが書ける。最初嘘かと思ったが、本当に500バイト以下でテトリスが動くのだ。恐るべし。気になる人は"7行プログラミング"でぐぐってみよう。話が逸れた。

ヒカルの歌は、それ位の枠で何をいっているか。喜びや悲しみや感動や切なさを、どれ位の細やかさで表現しているのだろう。

たとえば、Prisoner Of Loveは「退屈な日々が貴方に会う事で激変した。ありがとう。何があっても一緒に行こう」という、出会いが心境の変化を生み強い決意を心に宿す過程を描いた歌、という風にまとめられる。心の動きの描写の曲である。個々のリスナーにその前後のストーリーを補完させる抽象性が確保されていて、なんだかちょうどいいメッセージ量に思える。

Never Let Goなんかどうだろう。これは案外シンプルで、如何に不安かを美文で綴ったものだ。曲調もモノトーンで、人生のストーリーの一部分をスナップ的に切り取ったような刹那的な雰囲気だ。

ぼくはくまの歌詞は、そういう風にヒカルの歌詞を比較していくと、結構突出していることがわかってくる。基本は自己紹介なのだが、歌や踊りといった芸能を嗜む感性を披瀝しつつ、好敵手の選定に肌触りを基準にするあたりはぬいぐるみとしてのアイデンティティに自覚的な面が窺えるし、前世に触れることで輪廻転生の世界観の住民であることも伝わってくる。フランス語にも精通し、動物としてのくまの性質をもっていること(冬は眠い)から彼は虚実の境目の住人であることもわかる。昼行性でありつつ、独り暮らしであることも伝わってくるし、いちばん秘めた想いが母の愛への渇望であることまで判明する。たった2分半でこれだけ多角的な歌詞を擁する歌はヒカルのレパートリーの他にはない。盛り沢山な内容である。


…この企画、シリーズ化しようかな…。