無意識日記々

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それは君の勘違い

もしかしたらちょっと勘違いしていたかな。

宇多田ヒカルといえば"グルーヴィな歌唱"という面に於いて、日本市場の商業音楽勢では明らかにNo.1だと思われる。ネイティヴな英語発音力に抜群のリズム感、楽曲に対する理解度とそれに即した声のコントロールの精度、その総てが備わっている歌手は他に思い当たらない。未だに、本格的なR&Bのグルーヴを歌で表現させれば日本ではヒカルに敵う者は居ないだろう。まぁあんまり有名でもない人の中に居たりもするので、あクマで"商業音楽勢の中で"、ではあるのですが。

しかし。ふと考えてみると、ヒカルの書いた楽曲の中にそんなにグルーヴィなものって見当たらないのだ。R&Bらしい低音域の効いた作風といえば1stだが、あれはヒカルはあんまりサウンドメイキングに携わっていない。あと、UtaDAに関しても、2ndはR&Bテイストはあるといってもあれは"メインストリーム風Pops"を北欧のメロディアス系のプロデューサーコンビと追求した二次的な結果であるので、コテコテのR&Bではない。

ヒカルの、いや光の書いた曲の中でもいちばんグルーヴィだと私が思う曲のひとつにEXODUSのWonder'Boutがあって、アレはホント日本人じゃ真似できないグルーヴを歌で出してるなぁと初めて聴いた時から思っているのだが、あのコテコテっぷりは結局ティンバーランドのリミックスがあったから、という事でしかなかったんじゃないか、とさっきから考えるようになった。

さっきから、というのはちょっと言い過ぎかもしれないが、元々光の作るリズムトラックには特徴があり、それは再三書いてきたようにEXODUSのOpeningになくてCrossover Interludeにはあるあのリズムトラックが一例な訳だが、あれは4つ打ち(ドン・ドン・ドン・ドン)のダンスビートが基礎基本になっていて、Wonder'Boutのような抑揚のある歌唱は要求しない。最近作であるGoodbye Happinessもこのダンスビートが基本になっていて、人間活動に入る前にいちばん得意なパターンで勝負してきたんだなと感じさせる。

つまり、ひとの作ったグルーヴィなトラック(1stでいえば甘いワナとか)にそれに相応しい歌唱を載せる事は出来ても、自分からそういう曲ってもしかしたら書いた事ないんじゃないかと気が付いたのだ私。さっき。ああいう路線で書こうとするとHAYATOCHI-REMIXみたいになっちゃうんじゃないか。良い悪いは抜きにして。

REMIXといえば、先述のWonder'Bout、EXODUSアルバムが初出の筈なのに最初っから表記が"remix:Timbaland"だった気がする。今手元にブックレットがないんで確認出来ないが。もしかしたら、リリースされていないだけで光主導による"オリジナル・ミックス"が存在するのだろうか、あるとすればそれはどんなリズムトラックで、どんな歌唱が載っているのだろう。滅茶苦茶興味があるのだが、Universalとの契約が終わった以上、そして原盤権を彼らが保持している(だからUTBが出せた)以上、恐らく永遠にお蔵入りだろうな。何しろレコード会社ってのは、原盤"権"は手放さないが、実際の原盤は紛失しているなんてこともあるんだから。嗚呼、もったいない。