無意識日記々

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桜流しを褒め殺し

桜流しが今年最も素晴らしい楽曲である事は既に私の中では論を待たない。タイトルを最初に目にした瞬間にそれは決まっていたような。それは今はさておき。

一番は桜流しとして、二番目は何か。私は「桜流し(instrumental)」だと本気で思う。この歌で最も強力なのはやはりヒカルの歌声そのものだが、伴奏のみでも非常に強いメロディーラインが目白押しだ。誇張ではなく、この280秒余りで交響曲一曲分の厚み、ドラマティシズムを感じる。今まで、光の書いた楽曲で最も楽曲のアレンジメント、楽器の編み込み方が優れていると思ったのはPassion-after the battle-/Sanctuary(Ending)とPrisoner Of Love (Quiet Version)、更にはFINAL DISTANCEといった所だったが、この桜流しはそれらを上回るスケール感に満ちている。全く、何ゆえこの娘(こ…ってもうすぐ30ですけど)は新曲を出す度にすわ最高傑作かと私に思わせるのか。SCv2でもグッハピとキャンクリをあれだけ讃えた私が、それ以上に絶賛しなくてはいけない立場に立たされている。嬉しい悲鳴を上げざるを得ない。

しばらくの読者なら御存知のように、最近私はモーツァルト交響曲40番、41番なんかを聴いていた。特に40番の第4楽章などは人類の至宝と呼ばれる、凡そ人の書いた楽曲にあって史上最高峰のランクに属するものだ。もうひとつ聴いていたのが、LED ZEPPELINの「How The West Was Won」だ。Animatoで歌われているのはBBC Sessionsだが、それと同時期の、彼らがライブバンドとして最も勢いを持っていた頃の音源である。20世紀最高の演奏集団のプレイ。いやこれ凄いよホント。

兎に角、斯様にして贅沢三昧状態で耳の麻痺した私をここまで夢中にさせるなんて尋常じゃない。今年も色々な曲やアルバムやコンサートや映画やアニメや小説やドラマや番組や事件やニュースやblogやストリーミングや動画やガジェットやら何やらかんやらに触れてきたけれども、久しくここまで夢中にさせてくれるものはなかった。夢中。いい響きだな。この曲を聴いていると如何に時間が大切か実感してくるよ。10分あったら桜流し桜流し(instrumental)が聞ける…!こういうのを生きる喜びというのだろうなぁ。

勿論、何の不満もない訳ではない。この楽曲には様々なレベルに於いて問題点が山積している。いや、もっと踏み込んでいえば「この曲はここに居ていいのか?」という実存的不安すら感じさせる。光の本格復帰でもないのに世間に流通するヒカルの歌声。そのギャップ等も含めて、種々の問題点を掘り下げていかねばならない。しかし、今のこの間だけは、この素晴らしい楽曲を褒め千切り続ける事を許して欲しい。この最初の感動を、しっかり書き留めておきたいのである。まぁそりゃ10年後に聴いても感動的だろうけれども。

そういや、気の早いなんてもんじゃないが、いつの日かこの曲をライブで聴く日は来るのかな。来てくれ。来い。このアウトロのピアノが導く静寂をBeautiful Worldのイントロが一閃する瞬間を想像するだけで全身が総毛立つ。身震いするぜ。妄想で。この2曲を繋げて演奏したら最強だと思う。少なくともその日までは生きておこうと思います。