無意識日記々

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よりよく・よりらしく

来週は早くも熊淡七があるので、このままだとインフレに触れるタイミングが随分遠くなってしまう。まぁ仕方がないが、そうなる前に一点だけ強調しておきたい。

このライブ映像は、Utada Hikaru史上最もHikaruの歌唱力を堪能できる作品である。

確かに、パフォーマンスの質としてはWild Lifeの方が上だろう。しかしこの時のライブは殆どが日本語曲だった。インフレは違う。This Is The Oneの曲がメインである。つまり、英語曲が大半だ。そしてそして、やっぱりHikaruの歌唱スタイルは日本語より英語に向いている。更に、TiTOの曲はEXODUSのそれに較べてずっとヴォーカル・オリエンテッドな作風の為、その歌唱力を堪能できる場面が格段に多い。とはいえ、EXODUSからの3曲も、Utada United 2006の時より遥かに出来がいいのだから豪華極まりない。一方で、インフレでは日本語曲も充実しているのでそれぞれの言語での歌唱力が堪能出来る。英語だけでこのレベルの歌唱を披露出来るシンガーは何人も居るが、両方の言語でこのレベルで歌えるシンガーは他に居ない。故・美空ひばりならもっと巧かったかもしれないが、自作曲を歌い、そのクォリティーが抜群に高いとなると最早他の追随を全く許さない。その希有な価値が100分に凝縮されている。ある意味、スタイルとし
て、いちばんUtada Hikaruという人の個性と特性を発揮できているコンテンツなのである。

そして、これこそが彼女の"本来の姿"だ。即ち、今英語で喋っていたと思ったら急に日本語になったりまた英語に戻ったりというあのリズムを、この映像作品は見事に凝縮している。宇多田ヒカルUtadaだとペルソナを使い分ける事なく「全部私」として表現している。ある意味、2枚のシングルコレクションより宇多田光という人間を"よりらしく"体現しているといえるだろう。つまり、彼女の事が好きなら明らかに買いである。英語の歌がよくわからない。よくわかる。そして貴方は、そんな自分にはよくわからない言語を喋る光わ含めて彼女の事が好きなのだろう。ならば、そのわからなさも愛しく抱きしめて愛せばいい。それが笑顔の秘訣である。買って観てみて、やっぱりわからなかった。でもなんかやっぱいいな、と思える。愛なんてそんなものだ。まず受け入れてみよう。いい歌がそこにある。