無意識日記々

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当たり障りの無さの良さなのよさ

続き。その、「天才が書いたメロディー」と「普通の人が書いた教科書通りのサウンド」という組み合わせが、First LoveアルバムやThis Is The Oneだった。純粋なHikaruの世界とは言い切れない分、何というのだろう、余りパーソナルではない、とでもいえばいいかな…。Automatic Part2なんかは自己紹介の歌だがそういう事ではなくて、サウンドが普通だと、そうだな、「広場で鳴らせる音楽」とでも言えばいいだろうか。

そうなってくると、First LoveのTV Mixの魅力というのは独特である。Hikaruがサウンドを作り込むと、インストゥルメンタルであっても、存在感とオリジナリティが際立ってしまって、時にはそれでひとつの楽曲として通用してしまう。例えば直近では桜流し。うちの2013年再生回数ダントツのワンツーフィニッシュは同曲の歌入りと歌無しだった。ポール・カーターとの共作故どこまでがHikaruのサウンドかはわからないが、"気合いを入れて聴く"に足る聴き応えがあったのだ。

First Love のTV Mixは、その点、どこかサウンドトラックのような趣がある。映画やドラマのサウンドトラックというヤツは、画面の主張を邪魔しないように敢えて目立たない、フックの薄い音楽にする事もままあるようだが、First Love のTV Mixにも、それは共通しているのではないか。何となく流しておくと、気軽なBGMたりえるのだ。コア過ぎる(恐すぎる?)ファンは、Hikaruの声が響いてくるだけでついついそちらに耳を傾けてしまいがちだが、TV Mixはその心配がないので気兼ねなく鳴らしておける。宇多田ヒカルの音楽のムードだけを運んできてくれる"雰囲気もの"としての用途は大きい。それもこれも、アレンジャーの方々がきっちり教科書通りの仕事をしてくれたからである。感謝々々。

そう考えるとメイン・ヴォーカルがマイナスワンになった今回のミックスのみならず、どうせなら、完全に全ての"人の声"を排して、本当に演奏のみとなったミックスも手に入れたくなってくる。贅沢だなーホントにもう。

この、TV Mixシリーズの「First Loveならではの魅力」をより際立たせる為には、やはりセカンド・アルバム以降&Utadaの音源に関しても、またこうやって記念盤を出してまたTV Mixを収録してもらって順に聴き比べていくのがいちばんだろう。いや、ホントに変わると思うよ。これを実現させる為にも、みんなで記念盤に対するリアクションを、そして、TV Mixに対する好反応を、それぞれ返していかなければならないだろう。私もまた頑張ろうっと。アピール・アピール♪