無意識日記々

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ソングカバーアルバムのリスクとメリット

ソングカバーアルバムのリスクとメリットを考えてみたい。

メリットは、言うまでもなく「繋ぎ」である。ただ空いた時間を埋めるというのではなく、First Love15周年記念盤に顕著なように、過去に宇多田ヒカルという看板が何を成し遂げてきたかを今のリスナーに再確認してもらう、或いは新たに学んでもらう機会を提供する事によって、過去と現在、そして未来を途絶えさせずに繋げていく「繋ぎ」だ。

となると、参加してもらうメンバーは出来るだけ現役感のある人たちという事になるだろう。ヒカルより後の世代のミュージシャンたちを起用するのは重要だ。自分の尊敬するミュージシャンが更に尊敬するミュージシャンて一体どんなだろう?と興味を持ってもらえれば成功である。

また、勿論、若い頃に聴いていたなぁと懐かしがってくれる層にもアピールしたい。そう考えると、今回のソングカバーアルバムは、現役のミュージシャンたちに宣伝を手伝ってもらう宇多田ヒカルベスト・アルバムのようなものだ。

勿論、ただのベストアルバムをリリースするのはヒカルとしては難色を示すしかないし、レコード会社の方だって面白くないだろう。既存のトラックを再発売するのであれば、Luv LiveをつけてきたFL15ほどではなくても、何らかの大きな付加価値が必要になる。そこらへんの調整も考えた上でのソングカバーアルバムだ。

デメリット、或いはリスクはそういった所から付随して出現するだろう。それは、宣伝規模とも関係してくる。宇多田ヒカルという看板を酷使した挙げ句売れませんでしたではヒカルのオワコンイメージが促進されてしまう。ヒカルは何もしていないのに評価が下がるというのは避けたい。余計なことしてくれたな、てなもんである。

ただ、たとえ売れなくとも、これを機にミュージシャンたちの間で宇多田再評価の機運が盛り上がるかもしれない。案外これがバカに出来ない。直接的なところでは、ミュージシャンたちは大抵自らのラジオ番組を持っていて、そこで好きな曲をかけている。そこの選曲にヒカルが今まで以上に入ってくるとなるとなかなかの宣伝になる。

また、スタジオミュージシャンたちとの繋がりが広がるのも大きい。スタジオレコーディング、ライブともやはり国内ミュージシャンに声をかけやすいかどうかは活動のスムーズさに大きく影響する。こんなサックスソロを録りたいんだけど誰か居ない?みたいな時に向こうが宇多田曲を知ってくれていたらなかなかである。

要は、売れれば大丈夫なのだ。ただ、今はどれくらいの売上なら成功といえるかが難しい。それこそメディアの匙加減ひとつなのだが、取り敢えずオリコン初登場トップ10入りなら面目は保たれるかな。もし仮に売れなかったとしても、「これは宇多田ヒカル自身は関わっていないから評価とは関係ない」という空気が出来ていれば御の字だ。まぁそこそこ気楽に構えていようと思う。